「おい、ハミル」
「ナオト」
「飯、買ってきたぞ」
「サンキュー」
「う、うめえ」
「人間の大好物だ」
「これはなんだ」
「ポテトだ」
「芋か?」
「そうだ、ジャガイモから作るんだ」
「塩がきいてるな」
「塩はわかるのか」
「人間の残りモノはこの味が多い」
「そうかもな」
「むしゃむしゃ」
「塩は海から取れる」
「海、そうなのか」
「ああ」
ごちそうさま
「もう食べたのか!まだ2分もたってないぞ」
「腹へったー」
「恐ろしい奴だな」
「他にないのか」
「少し待ってろ」
よいしょっと
「ハミル、いいか」
「うん」
「敵に塩を送る」
「ん?」
「日本の戦国時代に上杉謙信という大名がいたんだ。越後だ、今の新潟だな。武田信玄という甲斐、今の山梨の大名と何度も戦をしたんだ。
武田信玄の甲斐はそれまで塩を輸入していた今川義元という駿河、静岡な、の大名と喧嘩になって、塩不足に陥った。
その時代は保存方法が塩だったんだ。塩漬けにして食糧を持たせる。その上移動が歩きだから塩分を補給しないといけない。塩は欠かせないモノだった。
上杉謙信はチャンスだ。どうしたと思う」
うーん
「弱ったところを、一気にやっつける」
「敵に塩を送る。上杉謙信は武田信玄に塩を送って助けた。敵だぞ。戦では戦うが、守られるべき最低限っていうのかな、民衆も苦しむし、道徳的な配慮をしたんだ」
「・・・」
「それが名将たる所以だ。それが人間だし、ハミルの言った通り弱みにつけ込んで一気に叩くこともある。それも人間だ」
「やさしいな」
「えっ」
「そのうえすぎけんしんって奴は優しいんだなー」
「やさしいか・・そうだな」
「どうなったんだ」
「ん?」
「謙信と信玄は」
「引き分けだ」
「ひきわけ・・・」
「諸説ある。その塩の話もそうだし、昔の逸話だ、実際は分からん」
「そうか」
「でも、返ってくるさ」
「返ってくる」
「助けりゃ、いつか何らかの形で自分に帰ってくる」
「善因善果か」
「!おまえ・・・・そうだ」
・・・・
くえ