※3年間クラス替えがない
「はい、では生徒会の新任顔合せを終わります」
はあ
「どうして私が生徒会長に・・・」
キャキャは生徒会長に任命された
「私、普通の子なのに」
H高校では2月1日に生徒会の選挙がある
今年は土曜日に当たるため、2月3日が当該日だった
キャキャは4名の候補者の選挙で三分の一の得票数を獲得して生徒会長の座についた
来年度の4月から新生徒会が発足する
H高校は学年毎にA〜D組の4クラスに分かれていて、キャキャは2年D組だった
桜が散った頃、最初のクラス会で学級委員長に任命された
嵌められた、と思った
ヤンチャ系の生徒の軽いノリで、程よく真面目で抵抗する勇気にも欠けていそうな生徒を数人推薦した
流れるままに、4名の候補者の選挙で三分の一の得票を獲得してしまった
自分で言うのは気が引けるが、責任感の強い私はできる限りの任を果たした、皆の顔色を伺いながら・・
その仕事ぶりが評価されたのか、それとも。
兎も角、
私は学級委員長からステップアップして生徒会選挙に送り出されていた
H高校ではクラスから1名を生徒会に送り出す仕組みになっていた
1年生から3年生、4クラスずつ、12人で生徒会が運営される
生徒会長は3年生から選出されるのが常なので、前述させて頂いた新3年生4名の生徒会長任命選挙が執り行われたのだった
「まあ、やるしかないか」
少し、私の胸に誇りが灯った
これが選挙を勝ち抜くということなのか
どこをどう、どんな角度で見つめようと全く普通の生徒に違いない私の名を他者が記したのだ
承認欲求
マズローの5段階欲求の上から2番目に位置する高尚な欲にSEVENTEENの娘が、一丁噛みしたんだ
来年度は生徒会長と〜
そう、さっき。
クラスの皆は私をどう思っているだろう
都合のいい女
そんな言葉が浮かんですぐ消した
〜受験生。
・・・・
「シャヤ、帰ろう」
「うん、仕方ないね」
「金がない」
「ごめん」
「謝るなよ!・・・ああごめん」
「うん」
苛立った
駆け落ちした女が他者の子を孕んだ
東京で暮らすには、彼女の稼ぎが生命線でそれも途絶えた
非力な自分。
シャヤはその体でも仕事を続けようとしたが、あまりにも悲しくて全身全霊を賭けて制止した
相手の男は目星がついていると本人は言う
ソレに腹の事実を告げると、面倒事を振払うように十万円ぽっちを手渡し姿を眩ました
名古屋に帰る、17歳は決断した。
僕は決断してない
12月の初旬に事が判明して、およそ9週目の存在
どうする
僕の視界は真っ暗だ
・・・・
私は中絶を決断した
リャリャは'ちょっと待て'と言った
どういうつもりか理解できなかった
寧ろソレを望んでいると思っていた
自分の子じゃないのに、脳が変
私の胎中は真っ白だ
・・・・
少し前。
霜月にまだヌルくて、外套は必要なかった
浦安に火花を見たんだ
立冬の花火の音を聞かせてあげたくて、母さんに電話した
「リャリャ、ありがとう。一緒にいる子はどう?」
あの頃。
母さんが手渡してくれたお札1枚と大きな硬貨1枚をキャラクター物の財布に入れて、近所のスーパーまでヒヨコみたいに歩いた
じゃがいも、にんじん、たまねぎ
ご褒美のお菓子をやめて、チーズを買った
「しっかり守ってやりなさい、リャリャ」
真面目が過ぎる僕が17になって"はじめてのわるさ"に出かけたんだ
今。
「おかえり、リャリャ」
母はあの御遣いと同じように優しい笑顔で、初めてを越えた僕の帰りを待っていた