花日和 Hana-biyori

100万分の1回のねこ

どの作家にも、お話が始まる前に絵本や猫に関する想いを簡単に書いていて、そこも面白い本でした。町田康さんのとこまで、ほぼ1つずつ感想を書いていましたが、図書館に返さなくちゃならないのでそんな悠長なこともしていられなくなりました。失礼ながら、箇条書きにて。

・今江祥智→戦時下の猫目線。直球な児童文学の印象。
・唯野未歩子→かわいい不思議ちゃんな文体で、惹き込まれたのに、えらい後味が悪い話だった。なぜそこまで夫に服従せねばならぬのか。短編ゆえのまとまりの良さと不条理を感じた。
・山田詠美→詠美姉さんらしい、しょうもない男とちょっとおバカな女の愛憎バナシ。でも計算された湿り気の情愛なんだよなーと思う。
・綿矢りさ→ポーの「黒猫」を猫目線で描いていて興味深い。猫から見たら、なるほど英雄譚なのね。
・川上弘美→「何回も生まれ変わる」という設定が、ある仮想空間のできごととして描かれていた。なるほどーとは思ったが、そんなに惹き込まれなかったのは、自分がその仮想空間に興味がないからかも。
・広瀬弦→「博士とねこ」というショートショート。最後の一文が、「ねこは科学者なんか大嫌いでした」と、絵本にちなんでいる。人間からは良かれと思って…なのだが、そりゃそうだろうと思わせた。
・谷川俊太郎→エッセイ風のファンタジー。さすが、いぶし銀である。

先日は海外の作家を含む短編を読んだので、比べると、それぞれの文体の違いがこっちのほうが色濃く感じました。作家の声のが聞こえるような、個性を感じる文章を楽しむのも面白みでした。
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