世界で注目されている「和食」にとって、食材はもちろん、器や盛り付け、料理の仕上がり、見た目にも、料理長の腕、知識、経験が大切です。想像ですが、たぶん料理長お一人だけではだけでなく、その店の調理場全員の知恵と知識が一つになってこそ「和食」の完成があるのでしょう。。そういった意味では、お店(レストラン)や調理場スタッフの「和」があってこそ、素晴らしい和食が完成するわけで「和・食」とはよく言ったものです。
花月の庭園には四季折々の移ろいが感じられますが、特に春の桜と秋の紅葉は見ごたえがあります。景色、空間(私にとっては猫の存在も含めて)、時間の流れ、それらも「和食」を構成する要因です。
今回の一品目「かぼちゃ豆腐」で、話を進めましょう。
まず、ベビー紅葉(まだ青い)がシャッキっと美しい・・・残暑(というよりこれからも本場?)厳しい中、秋を感じさせるものです。私は着物が好きですが、和装でもちょっとした「季節の先取り」が粋であるとされます。この紅葉の葉はお庭整備のスタッフさんが獲ったものかなあ?と考えました。シャイな方のようですが、いつ見ても一生懸命動き、働いているステキな方です。
そしてこの「南瓜(かぼちゃ)」の可愛い色と形を、畑の葉に見立てた深い暗緑色の器で締めています。種がこぼれた様子をイクラを使って表現しているのかな?味わいはもちろん、この「見立て」が和食の醍醐味でもあります。
別の料理ですが、今回も夏の器が涼しい・・・前回の法要時もガラスの器でしたが、また違う形のガラス器を使ってくれました。ここの器は上品です。良い器は主張しすぎず、料理を引き立てながら、自らも渋い存在感を醸しだします。折々の器の選定には、マネちゃんの妹さんも関わっていらっしゃると聞きました。さすが「伝統ある花月の娘さん」ですね。
箸置きは「赤い鯛」・・・仲居さんが誕生日に合わせて選んでくださったのでしょうか。
さて、かぼちゃ豆腐のお味は・・・かぼちゃは強く主張せず、夏の料理らしい喉越しのよさ、味付けもイクラを引き立てる。花月の皆さんの「和」と料理長の「腕」が、慎ましく結集した一品でした。
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