電力会社と政府は、日本の原子力政策を「国策」として「安全神話」を振り撒きながら、国民に実態がわからないように、秘密裏のうちに進めてきました。そのため、ほとんどの日本人は原子力発電を廃止すれば電力不足になると思っています。しかしこれは初めに「原子力発電ありき」で最優先の政策をとってきたからです。
その理由は後述にまわしますが、現在日本の原発は54基全てを、即廃止しても発電力は十分間に合っているのが現状です。
日本では、およそ電力の30%弱が原子力で供給されていますが、総発電設備の能力は原子力発電は全体の18%しかありません。そして火力や水力発電など十分な設備と能力があるにもかかわらず、初めに「原発ありき」で最優先にしているのです。
「火力発電所」などほとんどを停止させているのが現状です。原発の発電量全てを火力発電でまかなったとしても、火力発電量は稼働は7割にしかなりません。それほど日本の発電力は有り余っているのが現状です。
(上図は「隠される原子力=核の真実から」小出裕章から)
それでは一体何故?危険極まりない「原発」を最優先に稼動させるのでしょうか?
その大きな理由の1つは原子力産業のなかの「原発予算」の利権にあります。
原発は一基の建設費だけでも3000~5000億の費用がかかり、さらに使用済み核の再処理計画やプルサーマル計画などでは何十兆という膨大な(ムダ)予算を食い潰します。
日本のエネルギー予算のなかでも大半は、原発予算に吸い取られます。
日本の電力会社は、国策の独占企業体として、絶対損することのない「総括原価方式」で利権を守られています。これは国の保護の下に電力会社が電気料金の設定などをできるとしたものです。原価に応じて電気料金の価格が設定できる為(国民負担)、膨大な予算を食い潰す「原発予算」には巨大企業が群がってきます。
独占企業体の電力会社を中心にして、電力メーカー(三菱重工、日立、東芝、GEなど)、ゼネコン(鹿島、大林、熊谷、大成建設、清水建設など)、鉄鋼、資材メーカー、銀行などが群がり、そして利権を守る為にいわゆる「スーパー談合」が形成されます。またそれぞれの巨大企業は政治献金により、官僚と政治界の原発族議員で癒着する「政財官利益共同体」が形成されます。
こうして国家独占企業の電力会社を中心とした「利益共同体」は予算をドンドン吊り上げる為に、発電力が有り余っているにもかかわらず、予算を食い潰す原発事業にどんどん突き進むことになります。その財源の負担は国民が毎月支払っている電気料金です。
その結果「日本は電気料金が圧倒的に世界一高い国」になっています。(世界のどの国よりも2倍近い料金になっているのが事実です)