日本の「電気料金」は2000年頃まで、ずばぬけて世界一高い国としてつとに有名ですが、その理由は
(1)日本の電力会社が国策として、国家独占事業体としてあること、
(2)膨大に予算を喰い尽す「原発優先政策」に(火力、水力発電を次にして稼動させない)あります。
そして「原発」は国策による独占事業のために、国民の血税によって賄われているにもかかわらず、国民への責任としての「情報公開」が全くなされず、秘密主義のベールの中で事業が進められてきました。
そのため国民の目に触れずに「原発利権者」のために、予算はつけ放題、電気料金は上げ放題の放漫事業になっているのです。
又独占事業のために、情報公開もなく、公平で、自由な競争もなく、日本のエネルギー政策として、何の発展も、進歩もない、時代遅れのムダな「税金と電気料金を喰い尽す老廃物」になっているのです。国民にとってはまさに「百害あって一利なし」の存在です。
〈関連リンク〉「電気料金」は中身が見えないブラックボックス!
原発から全面撤退しない政府こそが、政官財の「原発利益共同体」と財界を守り、国民生活を危険にさらし、国民の税金を喰い潰す最大の原因になっています。
東京電力は「原発の超危険性のために」最大電力を必要とする首都圏に原発を設置せずに、東北の福島や、新潟の柏崎、刈羽に設置してきました。首都圏から何百キロも離れた所にです。そのために送電ロスが大きく、多くの電気は漏電します。これ以上に不経済、非効率的なものはありません。
青森県の六ヶ所村では(見通しのない)使用済み核燃料の再処理工場の建設と称して数兆円の予算を注ぎ込まれてきました。又高すぎる日本の電気料金の中に含まれる「電源開発促進税」はその大方が稼動したこともない高速増殖炉「もんじゅ」に湯水のごとく注ぎ込まれてきました。(既に数兆もの)そして原子力船「むつ」には5000億円もの予算が投じられましたが、動くことがありませんでした。
極み付けは、原発はそれ行けドンドンで造ってはきましたが、一度稼動してしまうと放射能が強すぎて、廃炉にも解体することもできないのです。そのため発電を止めて、核燃料を取り出して「閉鎖」するしかないのですが、これがまたやっかいなのです。
この放射能まみれになり「閉鎖」された原発はこれから放射能が漏れ出さないように、そして無くなるまで冷却し続け、半永久的に管理し続けなければなりません。もちろん定期検査も続けなければなりません。
一基あたりの費用は建設時も大変な額に及びますが、その後の稼動もしない核廃棄物の管理の年月と費用は莫大になります。
(一基の建設費用、3000~5000億)
原発は燃料であるウランを燃やして発熱する装置です。そしてそれにつながった発電機で電気を起こしているだけの装置です。しかしウランを燃やして作った発熱は、利用できるのは三分の一にすぎず、残りの三分の二は、海に捨てているのです。
この発熱効率が大変悪く、逆にこの排熱は夥しいもので環境破壊の大きな原因にもなっています。
エネルギー効率では旧来の火力発電も原子力と同じく排熱の問題を抱えていたが、近年の石油、石炭、ガスなどの火力発電は効率をぐんぐんと高めているのです。2000年までに原発の1,5倍までエネルギー効率を上げることに成功しています。
さらに東電の川崎発電所のようなガスコンバインドサイクルによる発電法が実用化されてきています。これはエネルギー変換効率が55%以上(原発の2倍)にものぼり世界最高のレベルにも達しています。また環境的にも排熱が少なく有害排出物も0に近いとのことです。
こうしたガスコンバインドサイクルは、東北電力の東新潟火力発電所でも、九州電力の新大分発電所でも使われ始めています。これらはクリーンな発電プラントであるだけでなく、同じ出力の原発に比べて、建設費も四分の一で済むとのことです。
東電の千葉県、富津火力発電所は一台目が2008年7月に、二台目が2009年11月に運転が開始されていますが、やはりエネルギー変換効率は、世界最高レベルの59%にも達しています。
<新しい発電システム>
コンバインドサイクル発電 コージェレーション、システム マイクロガスタービン クリーンコール(石炭 をガス化) 燃料電池 など。
「安全神話」のための、原発事故とトラブル隠し
(原発事故とトラブル隠しは数限りなくありますが、その幾つかだけを紹介します)
1991年2月9日に関西電力美浜原発2号機で起きた、ギロチン破断事故。
熱交換を行う蒸気発生器の細管の一本が切断された状態(ギロチン破断)により、核燃料の冷却放射能を帯びている冷却水が漏れ出した事故。最悪に事態には至らなかったが、甘い定期検査で、原子力安全委員長代理の都甲泰正教授が三菱重工のプラントに安全の指示を出していた。(老朽化のためにいつ破断事故が起きてもおかしくない状態になっていた)
2004年8月9日、関西電力美浜3号機配管破断による死亡事故。
- 建屋全体に100度の高温蒸気が充満して、作業中の4人の下請け業者が窒息死。他の6人も大火傷の事故。
- 福島第一原発でも老朽化のために、何度も何度もトラブルを起こしては、東電は16年にも及び、隠蔽とデータ改竄を繰り返していました。
- また原子力安全委員会はそれを認めていました。福島県の佐藤栄佐久知事は何度か東電に抗議しましたが、東電は全く聞く耳を持ちませんでした。
- 1995年12月8日夜、高速増殖炉「もんじゅ」でのナトリウム火災事故。
- ステンレス製の器具から大量のナトリウムが漏れ出して、空気と触れることで燃えながら流れ出しました。「もんじゅ」はプルトニウム、ウラン混合物を燃料に使い、原子炉には長崎原発200個分をかかえ、出力400%を超える運転に入っていました。
- この緊急事故には実に4時間半もかけて火災を終息させることが出来ましたが、しかしその後、科学技術所は一貫した秘密主義を取り、資料の記述改竄、ビデオテープの偽造や隠蔽までやっていました。
- 1999年9月30日に起きた東海村JOC(株式会社JOC)バケツ臨海ウラン放射能被曝事故。
- バケツでウラン溶液を注いでいて起きた臨界事故。死者2名、被爆者数百名に上ったJOCの事故です。翌日、野中官房長官(当時)は関係者に「原子力は安全であるという神話が崩れてはいけない」と述べ、その後政府も原子力安全委員会も事故の詳細については公表しませんでした。
政府や電力会社による「原発事故やトラブル隠し」は限りなしにありますが、安全委員会、保安院も一体としてやっています。 - 国策事業として徹底した秘密主義を取り、偽装された「安全神話」だけを大宣伝していますが、実際は膨大なムダ金を注ぎ込み、何人もの人が亡くなったり、被爆しているのです。
- この秘密主義こそが国民の損害と被害を甚大にしています。福島第一原発も起こるべき事故として起きた人災ですが、その責任は政府関係者も安全委員会、保安院も誰もとっていません。