菅首相は米国発のTPP参加は、「平成の開国」、「日本の第3の開国」だとマスコミや、連合まで巻き込んで、今盛んに宣伝しています。そして今年6月までに日本のTPP参加結論を出すと言っています。また日本の財界は諸手を打って協調しています。
これは11月に開催されるハワイでの「米国主催のAPEC」に合わせたものです。
米国は2008年に「100年に1度」と言われた世界経済危機後も、懲りずに依然として、金融緩和策などの市場原理主義の政策を続けています。米国はリーマンショック後も貿易赤字はうなぎ状にのぼり、財政赤字も膨大なものになり、オバマ大統領は双子の赤字の解消に必死の状態です。
ここで米国は「例外なき関税撤廃」のTPPによる自由貿易で、「輸出の大拡大」を図り、必死の赤字の解消を図ろうとしています。米国の新自由主義経済政策はこの2000年代に入り、中南米諸国でことごとく拒否され、反新自由主義政権が続々と誕生してきました(現在15ヵ国に)。
しかし日米安保条約により米国に従属する日本は、自公政権、民主党政権と「米国の要求のまま」に、規制を緩和し、市場原理主義、小さな政府の新自由主義の政策を採り続けてきました。
小泉政権の新自由主義政策(規制緩和、民営化、小さな政府etc)は、日本に新自由主義の花を一気にさかせ、経済、雇用、社会保障を破壊しまくり、国民生活を破壊し続けましたが、今度の菅政権の新自由主義、TPP=「平成の開国」はさらに、はるかにその上を行く、日本の国を一気に壊国に導きそうです.
「例外なき関税撤廃」を鉄則にするTPPの対象品目は、農業や食料だけではありません。その第4条に「全ての品目の関税を撤廃する」とあります。金融、保険、医療、軍需、公共事業、教育、観光、スポーツ、競争、投資、知的財産権、サービス貿易、等々に及ぶきわめて包括的な貿易協定です。
もし日本がTPPに参加するとなると、米国から様々な分野での自由化、規制緩和が要求されます。なかでも第一次産業の農林、水産分野と同時に第三次産業分野で、金融、保険、医療などが最も狙われそうです。2004年10月米国による「年次改革要望書」では「、、、日本郵政公社の民営化は意欲的かつ市場原理に基づくべきだという原則が米国の提言の柱になっている」と述べています。郵政民営化は米国の再三、再四にわたる強い要求でした。
日本郵政公社は小泉改革により現在、日本郵政株式会社になり、郵便局株式会社、郵便事業株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社の4社を持つ持ち株会社になっています。
特に郵便貯金銀行は「株式会社ゆうちょ銀行」となり226兆もの資産を持っています。「株式会社かんぽ生命保険」も日本で最大の保険金を預かる優良企業です。共に財政投融資として長い間、日本の財政を支えてきました。しかし郵政民営化法案により、2017年10月からは、共に全ての株式を売り払い、完全民営化が行われることになっています。
郵政民営化後、郵政株式会社は、日本の巨大金融資本にハイエナのように狙われてきましたが、日本のTPP参加となると、米国の巨大金融資本に狙われるのは目に見えています。そしてその先に見えるのは、巨大金融資本に利潤を吸い取られ、市場原理主義に基づく、金融資本の経済支配だけが残ります。