庭で菊が可憐に花を咲かせていました。
初めて見た種類の菊なので品種は不明ですが、グラデーションがとても綺麗ですね。
初めて見た種類の菊なので品種は不明ですが、グラデーションがとても綺麗ですね。
庭の千草も 虫の音も
枯れて寂しく なりにけり
ああ白菊 ああ白菊
ひとり遅れて 咲きにけり
露にたはむや 菊の花
霜に傲るや 菊の花
ああ あはれ あはれ
ああ白菊
人の操も かくてこそ
唱歌や童謡は、旋律もさる事ながら、言葉の選び方が美しくて好きです。
綺麗な言葉を使って七五調に纏めた、先人の感性と叡智には頭が下がりますね。
100年以上前の明治時代前半に作られた歌ですが、今なお歌い継がれているということは、日本人の感性に強く訴えるものがあるということなのでしょう。
わが家の庭の情景にも重なるところがあり、私もつい歌ってしまいます。
この歌は、晩秋に咲く菊の花を、もの哀しげに歌ったようでいながら、実は初冬に力強く咲く菊の花…夫に先立たれても心変わりせず、一人の相手を愛し続ける芯の強い女性を歌ったものだと聞いたことがあります。
そうした歌の意味を知ると、ふと90歳になる私の祖母を連想させられます。
よく祖父が存命の頃は、伴って荷物の配達の仕事をしていたり、盆栽や庭木の手入れをしていた一方、サルビアの植え替え位置など、どうでも良いようなことでよく大喧嘩していたので、仲が良いのか悪いのか不明でした。
しかし、祖父が他界した時は、ものすごく泣き、一睡もせず祖父の元を離れなかった姿があり、その祖母の本心を見て祖父を羨ましく思ったものです。
菊は「1年のうちで最後に咲く花」という意味から、「窮まる(きわまる)」が転じて「きく」という名前になったとの説があるようで、菊全体の花言葉は「高貴」「高潔」「高尚」と、とても気高いものです。
さらに赤い菊には「あなたを愛しています」という意味があるそうですね。
桜に始まり菊で終わる日本の花…なんて美しいものなのでしょうか。
人の操もかくてこそ。