一夜明け、神戸の街も豪雨。
伊勢湾台風以上の史上最強クラスの台風が近づく中、開催を危ぶみましたが、
朝一で問い合わせしたところ予定通り行って頂けるとのことで、
行ってまいりました。こちら。
月に数回、個人見学会を開いてくださることを知り、構想1年以上、3か月前から日程を確認して、やっと予約を取り付けていたこの日です。
中止になったら号泣間違いなしでしたが、
本当に良かった。(号泣)
あまりの嵐に電車がいつ止まるか分からず、とりあえず甲子園駅まで行って、土砂降りなのでタクシーでぶぶぶ。
夢にまでみた甲子園会館です。
もう、アングルなんか考える余裕なく、
撮るのが精一杯。
その分、中はたくさん撮らせて頂きました。
甲子園会館の前身、甲子園ホテルは1930年(昭和5年)に東京の帝国ホテルの支配人だった林愛作氏がフランク・ロイド・ライトの一番弟子と言われている遠藤新氏に設計を依頼して建てられたもので、「西の帝国ホテル」と称される逸品。
ホテルとして使用された期間は短く、戦時中は日本海軍に、戦後は米軍に接収され、解除後は国有地として荒れるに任せていたものが、1965年、武庫川女子大に譲渡され、教育施設として再生。
大改修の末、今に至るという、貴重なたてものなのです。
暴風雨ですからキャンセルした方も多数いらした模様で、少ない人数でゆっくり、いつも以上に丁寧にご案内して頂けるという不幸中の幸いにも恵まれ、いざ館内ツアーに出発です。
建築家 遠藤新先生の作品といえば。
池袋の自由学園明日館が大好きな私。
もうもう、各所で至福。目からハートが。
まずは外観ですかね。
とにかく土砂降りなので、お庭からはこの日は撮影出来なかったのですが、
テラスやベランダの片隅に出して頂いて、
覗いてみるとこんな光景が。
この屋根は、瓦から、武庫川女子大の建築学部の学生さんが、焼いて屋根に登って修復、メンテナンスをされているそうです。
素晴らしい保存状態の理由、納得。そして、感動。
とにかくボーダータイルひとつ、日華石のパーツひとつとっても美しい。組み合わせも美しい。
では、順次室内を。
こちらの建物は洋館でありながら、日本文化を随所に盛り込んである小粋なつくりとなっています。
例えば、つくばい。
こちら、非常時の防火水槽を兼ねて設置。
例えば打ち出の小槌。
ここに打ち出の小槌。わかります?
打ち出の小槌がモチーフになって各所に隠しミッキー状態。
こんなところや
マヤ文明の遺跡のような大胆なデザインの中に見え隠れする日本の縁起物が可愛い。
また、あちこちに流れ落ちる水玉のモチーフがあります。
暖炉の飾りや窓ガラスのデザイン。
細部にまで目配りされています。
波状の模様の壁面や
採光が計算され尽くした窓。
冬至には、こんな感じで日が入るらしい。
美しい。拝見したいものです。</div">
わかりますかね。
水面に映る照明も綺麗。絶対計算してる。
今は学生さんの作業場になっているメインダイニングは天井のデザインが、遠藤新って感じ。自由学園を彷彿とさせます。
貝型でデザインが統一された上品な照明も素敵。
バンケットルームはゴールドを基調としたデザインがゴージャス。
と思えば天井がちょっと障子っぽいデザインだったりして。和の融合を体感。
かと思えば、デコラティブな柱があったりして。それでも妙に調和してる。
ライト式建築らしく
高さを変えることで視点を変化させ、
空間を最大限に生かす設計。
あまりいい写真がないのですが、
バンケットホールに入るところ、こんなに下がります。丁寧に飾り目隠しも付いてる。下にグランドピアノが見えます。
低い天井をくぐってホールに出ると一際高い天井の吹き抜けが。
こちら、ホールから外を覗いた光景。
奥に先程のグランドピアノが。
ホールこれくらい下がってます。
というか、メインロビーが上がっているので、下がっているように見える?ということもある。何言ってるか、わかりませんよね。
わかりますかね。
これ、エントランスを正面のメインロビーから撮影してます。
メインロビーが高いところにあります。
でメインロビーから下がったところにバンケットホールがあるわけです。
もう、バリアフリーとかない。
バリアだらけではあります。
でも、美しい。どうしたらいいんだ。
上階には
今は応接室となったカードルームがあったりして、優雅な空間。
メインバーの床は当時名を馳せていた「泰山製陶」で丁寧に焼かれた色とりどりのカラータイルが。
布目があったり、一枚一枚変化があって
渋お洒落。
暖炉の波波が楽しい。
メインバーにある家具も遠藤新氏のデザインなのですが、ライトにダメ出しされた代物らしい。
あら、残念。写真はありません。
いっぱい撮ったはずなのに、あれもこれも撮り損なったか。
とにかく、建物の中に身を置いて、匂いを嗅いで、空気を吸って。隅々まで眺めることに勝ることはなく。
その感動は、写真になど映らないのが残念。
もう一度、晴れた日にお邪魔して、外観も目に焼き付けたいと思ったのでした。
続く。
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