犬は跣足(はだし)なり 丸山薫
ある日 みんなと縁端にいて
ふいにはらはらと涙がこぼれ落ちた
母は埃(ほこり)でも入ったのかと訊き
妻は怪訝な面持ちして私を見つめた
私は笑って紛らわそうとしたが
溢れるものを隠す術もなかった
せんちめんたるな と責めるなかれ
実はつまらぬことが悲しかったのだ
愛する犬 綿のような毛並みをふさふささせ
私たちよりも怜悧で正直な魂が
いつも跣足(はだし)で地面から見上げているのが
可哀想でならなかったのだ
最新の画像[もっと見る]
犬は跣足(はだし)なり 丸山薫
ある日 みんなと縁端にいて
ふいにはらはらと涙がこぼれ落ちた
母は埃(ほこり)でも入ったのかと訊き
妻は怪訝な面持ちして私を見つめた
私は笑って紛らわそうとしたが
溢れるものを隠す術もなかった
せんちめんたるな と責めるなかれ
実はつまらぬことが悲しかったのだ
愛する犬 綿のような毛並みをふさふささせ
私たちよりも怜悧で正直な魂が
いつも跣足(はだし)で地面から見上げているのが
可哀想でならなかったのだ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます