この子は、グラちゃんでもチビちゃんでもありません。
「さくら」という名の新入りです。5歳のメス猫。
行きつけのガソリンスタンドで飼われていました。
写真は目を閉じているので、一見穏やかそうに見えますが、とんでもない凶暴な猫です。
本来凶暴なわけではありません。凶暴なのは私にだけかもしれません。
実際、娘がなでるとなんともしません。悲しいですねぇ、命を助けてあげたのに。
さくらは、生まれてまもなく捨てられて、ガソリンスタンドの店員に拾われました。
毎日ミルクを飲ませてもらって、命が助かり、それから5年間ガソリンスタンドの片隅
につながれたまま育ちました。スタンドですから、いつも車がで入りするので、放し飼い
することはできません。
昨年冬、私が初めてそのスタンドに給油に行って、このさくらに出会いました。
寒い屋外につながれっぱなしのさくらが、可愛そうでなりませんでした。
それからは、車の給油は毎回このスタンドですることにし、暖かい寝床を買って行き、
毎回行くたびに、美味しいフードや猫缶を差し入れしていました。
さくらは、スタンドの店員たちに可愛がられていましたが、本社の上司には決して見
つからないようにしていました。年に数回上司が来るときは、さくらを隠しました。
それが、この3月、不意打ちでやって来た上司に、さくらを飼っているのがついにバレ
てしまい、上司が怒り、「直ちに捨てろ」と命じられました。
若い店員たち、誰も猫を飼うことができない住宅事情であることから、結局私が
引き取らざるを得なくなってしまいました。
先週火曜日、さくらは我が家に来ました。
ところが、さくらの目はぎらつき、ウ~とうなってばかり。私がそばに近づこうとするなら、
大きな声で私を威嚇し、「ぶっ殺すわよ」と言わんばかりの表情で、私に飛びかかろう
とするのです。
さくらにとって私は、「住み慣れた所からさらっていった悪いおばちゃん」だったようです。
先週木曜日、とてもいい天気だったので、紐を長くして、外へ出してあげました。
相変わらず、私には氷のように堅く心閉ざしたさくら。
木曜の夜、私が長崎に行って留守の間、紐がどうかした拍子にほどけてしまい、
さくらは脱走しました。首についた紐はつけたままです。
毎日探しました。紐が何かに引っかかったら、そこから動けなくなるので心配でした。
毎日、明けても暮れても、イエス様に祈りました。
日曜日の夜。すべてを終えて家に帰ったとき、裏の窓から、何度も、
さくら~、さくら~、と呼び続けました。何の返事もあるわけがない。
ところが、それから数分して、PCの前に座って作業を始めると、
ギデオンが吠えていました。そして、さくらが皿をカチカチ言わせて餌を食べる音が
聞こえて来ました。サクラだ!
急いで台所へ行ってみると、いた~~!!さくらが。
皿に残っている猫缶を、死に物狂いで食べている感じでした。
おそらくうちを脱走して3日間、何も食べていなかったのでしょう。
きっと、紐が何かにひっかかってもがいているのを、誰かが見つけてくれて、
首輪についた紐を取ってくれたのでしょう。
生まれて初めて自由の身となったさくらですが、ガソリンスタンドへ帰る道を
知らない。結局、わたしの所に帰ってくるしかなかったんですね。
さくら、朝ごはんを食べて、熟睡しています。この3日間、大変な思いをしたに違い
ありません。もうつながれていないのに、家から全く出ようとしません。
天気がいいので、「日向ぼっこしといで」といって少し出してみましたが、すぐに家の中に
入ってきました。この目、見てください。私を見る目は、いつもこんなにギラついています。
近寄ろうとすると、相変わらず、ウ~っとうなります。
でも良かった。本当に良かった。嬉しくて嬉しくて。
桜の花が満開の時に、うちに来たサクラです。
私はイエス様に、「桜が散ってしまう前に、サクラが帰って来ますように。」と祈りました。
イエス様は、本当に憐れみ深い方です。祈った通りに答えてくださいました。
幸せになろうね、さくら。イエス様が、きっとそうしてくださるからね。