どこかの哲学者が、「自分なんてものはない。自分を捨て、役割を果たすことが1番の幸せである」的なことを言っていた。原著は読んだことがないので僕の理解が合っているかはわからないが。
確かに、自分が今みたいなニートじゃなくて働いていたころ、そうだったような気がした。そのころ、自分なりには真面目に働いていた。人の役に立つことが自分の幸せだと思っていた。そこに、今みたいな”自分”はいなかった。
でも、自分なんてものはない、と言われたら、ちょっと寂しいもんだ。自分を大切にしている俺が滑稽に見えてくる。いや、そもそも、俺は自分を大切になんかしていない。もしそうだったら、ちゃんと仕事をして社会に係わっているし、毎日インスタントラーメンを食べたりしない。エロ動画を観て6回もオナニーをしたりしない。
今は以前と違って、「自分を大切にする」という考えが普通になりつつある。仕事にしても、精神的なことにしても、性自認にしても。だから今まで社会で割を食ってた人たちからすれば、幾分、住みやすい世の中になったのであろう。しかしその反対で、今まで肩で風を切って歩いていた人たちは、住みにくさを感じているかもしれない。これはまぁ、それはそれで良くないのかもなと思う。どっちかが得をすればどっちかが損をする。両方、得をする社会なんて、望むだけおこがましいのかもしれない。
もちろん、色んな人が色んな主張を言うことはいいことだと思う。だからといって、反対側にいる人を攻撃するようなことをすれば、それは自分がされていたことを返しているだけになる。あぁ、結局人間はこうなんだ、って思うのは、なんか嫌だなって感じる。