俺は、今まで神様を憎んできた。僕の中で、人間は神様がつくったものだ、というイメージがあった。つまりこんな、意地汚くて、攻撃的な人間、僕のようになんの役にも立たない人間をつくった神様は、アホやろうだと思っていた。
でも、よくよく考えてみると、俺は神様なんて見たことがない。神様が人間をつくったという話も神様本人、もしくは最初につくられた人間に聞いたわけでもない。ならなぜ、神がいると思っていたのだろうか? それは、いると思いたかったからなのかもしれない。
神様がいれば、自分の願いや欲求を聞いてくれる。それで自分は安定する。逆に、嫌なこと、うまくいかないことがあったら、ぜんぶ神様のせいにできる。そうすれば、自分の気持ちは楽になる。だから神様いると思っているのは、そのほうが都合がいいから、というだけなのかもしれない。
しかしもし本当に神様がいて、全人類の願いや罵詈雑言を聞いているなら、「大変そうだなぁ」と今は思う。感謝されるぶんにはいいだろうが、覚えのないことについて言われても、「いや俺のせいじゃないんだけどなぁ」とか思っているのだろうか。なんにしても大変だ。
だから、俺には今も神様がいるかどうかわからないが、あんまあてにしないでおこうと思う、今日このごろであった。