インドの流儀2

今はここにいます。

ぼくがここに

2009年01月19日 | 
ぼくが ここに いるとき ほかの どんなものも

ぼくに かさなって ここに いることは できない

もしも ゾウが ここに いるならば そのゾウだけ

マメが いるならば その一つぶの マメだけ しか

ここに いることは できない
 
ああ このちきゅうの うえでは こんなに だいじに まもられているのだ

どんなものが どんなところに いるときにも

その 「いること」 こそが なににも まして

すばらしいこと として
  
                    まど みちお 「ぼくがここに」

コーヒ茶碗

2008年09月19日 | 

二人がのんだコーヒ茶碗が
小さい卓のうへにのせきれない。
友と、僕とは
その卓に向かいあふ。

友も、僕も、しゃべらない。
人生について、詩について、
もうさんざん話したあとだ。
しゃべることのつきぬたのしさ。

夕だらうと夜更けだらうと
僕らは、一向にかまはない。
友は壁の絵ビラをながめ
僕は旅のおもひにふける。

人が幸福とよべる時間は
こんなかんばしい空虚のことだ。
コーヒが肌から、シャツに
黄ろくしみでるといふ友は
「もう一杯づつ
 熱いのをください」と
こっちをみている娘さんに
二本の指を立ててみせた。
                 金子光晴



写真の喫茶店はコーヒーカップ、大中小が選べます。
いつも、中カップをオーダーしますが片手で飲めないくらい重く
飲んだ後はいつも満腹。
コーヒーは二杯目を注文したくなるくらいの小ぶりのカップで飲むのが
通かもしれませんね。

詩は大好きな金子光晴の「山之口獏君に」。

タゴールの詩

2006年07月21日 | 
こんにちは。

今日も外は雨で肌寒いすね。

さて、コルカッタの一番人気はタゴール。
詩の朗読会といえばタゴール、絵が飾ってあるなあと見ればタゴール、
タゴールの誕生日はお休みになります。
今日はたくさんある詩のなかで私の一番大好きな詩を紹介します。

 私は世界を巡った
 あらゆる土地
 あらゆる国を訪ねた
 山も海も川も巡った
 だが私は忘れていた
 私の家のすぐ外の
 ちいさな草の葉に
 一粒の露が宿って
 そこに全宇宙が
 映し出されているのを


足元の一粒の露に無限大の宇宙の意志が宿っていると感じとったタゴールの内なる魂はやはり偉大です。タゴールのいのちの歓びが伝わってきます。


タゴールは1913年東洋で最初のノーベル文学賞を受賞しました。
日本びいきで日本には5度も来日しています。