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交通事故後“脳“に深い傷…北海道文化放送

2017年04月06日 | 症状関連記事

1~3page Newsをリンクと貼り付けします。

交通事故後“脳“に深い傷…「記憶障害」と闘いながら裁判で認められない“なぜ?“ 札幌市 2017/4/5(水) 20:17

 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170405-00010000-hokkaibunv-hok

北海道では、2017年に入ってから4月4日現在で、3054件の交通事故が発生し、24人が死亡、3593人の負傷者が出ています。
交通事故にあって、命を取り留めた。しかし、事故後数年経ってから「異常」が発覚するケースが後を絶ちません。
見た目は変わらなくても、“物忘れ“や、“注意力がなくなる“など「高次脳機能障害」という状態に陥った人の前には、生活への不安だけでなく、幾重もの壁が立ちはだかっています。

出勤途中 車にはねられ頭を強打…激変した生活
香苗さん:「(車に)はねられて荷物が散っちゃったので、車道に出て、拾ったというのは、うっすら覚えています」
 札幌市に住む香苗さん(仮名、42)は、9年前の出勤途中、自転車に乗っていたところ、車にはねられ、打撲などの重傷を負いました。
 頭を地面に強打した香苗さん。事故以降、生活が一変したといいます。
母親:「あれだけ本が好きで、“本屋めぐり“していた子が、まず本は手に取らない、人間が、ころっと180度変わってしまった」
「こういう入り組んだもの作れていた。今、こういう複雑なものは、作られない状況です」
アクセサリー作れない 激しい物忘れ…「高次脳機能障害」
 もともと、アクセサリーを作って、販売するほど器用だった香苗さん。事故後、“物忘れ“が激しくなり、集中力もなくなってしまった香苗さんに下された診断は…、「高次脳機能障害」

 国立循環器病研究センター長 中川原譲二医師:「病気として見つかりにくい。“頭部外傷“や“脳卒中“を契機として発症する。症状としては、“記憶障害““注意障害““遂行機能障害““社会的行動障害“とまとめられる」

 物事を忘れたり、新しいことを覚えられない。注意力の低下。計画的に物事を行えない。感情的になる、などさまざまな症状が出るのが、「高次脳機能障害」。厚労省によると、全国に約50万人いると推計されています。
(小見出し)全国で50万人…娘の将来は? ぬぐえぬ不安
香苗さんも、MRIで脳に損傷があることが確認され、リハビリを続けてきましたが、もとの状態には程遠いのが現状です。

 持病のある母親は、娘の将来への不安がつきまといます。
母親:「去年1年で、1万2100円くらい、小物づくりの手数料をいただいた。将来は、生活保護で生活するのを決められているような状況ですよね」
小学1年生で交通事故に…18歳 竜治さんの迎えた“卒業“
 札幌市西区の山の手養護学校。3月1日は卒業式。3年間通った学び舎に別れを告げた、竜治さん(18)も、高次脳機能障害を抱える一人です。
竜治さん:「3年間、よく覚えてないけど楽しかった。社会人になるのは、緊張するけど、“やらなくちゃ“って思う」
竜治さんの母親(50):「今まで苦労して頑張った分、じーんときて。やっぱり心が熱くなりましたね」
3年間、共に通った友人のために、手作りのクッキーを持参した竜治さん。そんな彼が事故にあったのは、小学1年生の時でした。道路を横断中に、右から来た乗用車にはねられました。
「救急車の中に、血だらけの竜治が」
母親:「行ってみたら救急車の中に、血だらけの竜治が寝ていました」
当初は、打撲や、擦り傷程度のけがと診断された竜治さん。しかし、「異変」が起こりました。
母親:「学校で勉強したことも忘れ、物を忘れ、友達の名前も忘れ、いろんなことを忘れていった」

「おはようございま~す」
事故後、2年が経過した時の竜治さんは、頭痛、吐き気、激しい物忘れに襲われていました。
学校に満足に通うこともできないなかで、原因を探ると、脳の周りを満たす髄液が漏れる「脳脊髄液減少症」であることがわかり、治療を進めた結果、6年前に髄液漏れは収まりました。事故から2年後、竜治さんは「脳脊髄液減少症」が判明し、治療を受けることに

 しかし、物忘れなどの症状は治まらず、高校は特別支援学校へ進み、2016年秋、障害者手帳を受け取りました。
竜治さん:「“あ~、だな“って感じ。ため息はついたけど、それ以外は特に…」
進学、一般企業への就職を諦めた竜治さん。見た目は普通ですが、日常生活で特有の症状が出るといいます。

      竜治さんの母親の日記より

母親:「“記憶障害“が一番強く残って…。メモしたことも忘れてしまう。下手したら一日でお小遣いを使い切ってしまう」
 キャスター:「Q. 1か月分渡しているのに?」
母親:「そうです」

一般企業への就職を諦めて…
竜治さんは、この春から障害者支援の事業所に通い始めることになりました。
竜治さん:「失礼します」
3月15日。札幌市中央区にある障害者支援事業所での、新しい仲間との生活が始まりました。
竜治さん:「竜治です。言葉遣いが、“あれな“ところもあるんですけど、よろしくお願いします」
ここは、就労継続支援B型の事業所。ここでしっかりできれば雇用契約を結び、給料をもらえる「A型」にステップアップすることができます。
事業所スタッフ:「ここで頑張りたいことは?」
竜治さん:「とりあえず行き帰りと、最後まで仕事を頑張りたい」
 
自立を目指し…ひたすらに
 初日は、メロンパン型のマグネット作り。紙粘土を型にはめて、色塗りをしていきます。
「水だけで線をぼかしていって・・・そうそう」
モノづくりが好きな竜治さん。次第にコツをつかんでいきました。
竜治さん:「かなり楽しいです」
事業所スタッフ:「細かい作業も大丈夫だと思うし、清掃とかもあるので、十分対応できると思う」
自立を目指し、一歩を踏み出した竜治さん。母親は、高次脳機能障害になったのは、事故が原因だとして訴えを起こそうとしてきましたが、「司法の壁」が立ちはだかります。
香苗さん(仮名)と竜治さん、この2人の前に立つ壁とは。
異常は明白なのに…裁判にある“別“の判断基準
香苗さんは、画像診断で異常があり、医学的に高次脳機能障害と認められています。しかし裁判では、けがをしたときに一定期間、意識障害になることや、脳の委縮などがあるなど別の判断基準があります。
国立循環器病研究センター長 中川原譲二医師:「“軽傷外傷“でも高次脳機能障害を発症しうるが、その人たちが脱落というか、医学的には“高次“なんだけど、自賠責保険法としては認められない、というのが起きているのが現実にあります」

 札幌地裁は、香苗さんが事故後、意識があったことや、職場に一時復帰していることなどから、機能障害の原因は事故以外の可能性があるなどとして、訴えを棄却。札幌高裁も厳しい判断になる見込みです。これに対し…。

  香苗さん(仮名、手前)は、「医療は進歩しているが、“判例“は進歩していない」と訴える。

「医療は進歩しているが、“判例“は進歩していない」

母親:「事故以外に何がありますか? 事故を起こしてから全部“変“なんです。医者が、みんな認めているものを、なぜ裁判所が認めてくれないのか」
香苗さん(仮名):「医療は日々進歩している。だけど“判例は進歩していない“。困っている人は、すごいいっぱいいると思います」   入院治療中のころの竜治さん

子どもの事故は“見えない“? 母親「死んでも死にきれない」
竜治さんは、神経が欠落しているものの、一般的な画像にはあらわれません。ただでさえ認定が難しいなか、事故が小学1年生の夏休み前、という幼いころだったことが、さらに壁となっています。
国立循環器病研究センター長 中川原譲二医師:「成人なら就労、就学しているので、明らかに能力が落ちるのが見える。(子どもの場合)当時の能力がどの程度か、その評価は非常に難しい」
事故前後で「どう変わったのか」証明が難しく、裁判で勝つには大きな壁が立ちはだかります
母親「一緒に毎日いて、以前との違いもわかっているのに、死んでも死にきれないというか、どう向き合っていこうか考えなくちゃいけない」
「お金を稼いだら、母に“ありがとう“って…」
 障害者支援の事業所:「Q.好きな食べ物は?」
竜治さん:「お肉、肉なら全部」
幾重もの壁に立ち向かおうと歩み始めた竜治さん。今、考えていることは…。
竜治さん:「お金を稼いだら、母に、ありがとうって、何かをあげたい。エプロンなり食事なり。考えています」                        ----UHB 北海道文化放送----
 
 

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