平方録

被災地は腹ペコだそうだ

友人は「それにつけても腹が減って仕方がない」と言っていた。
確かに、テレビを見ていると、ようやく始まった自衛隊の炊き出しの握り飯2個を手に入れるのに、2時間も行列しなければならないそうだ。
腹が減っては何とやら。いつ終息するか分からない連続する揺れの恐怖に加え、腹ペコというのは切なかろう。

熊本を襲った地震は14日の最初の一撃が「本震」かと思ったら、あにはからんやあれは「前震」で3日後にマグニチュード7・3の本震がやってきたのだからびっくりしたろう。
「ぼちぼち治まりかけてきたかな、やれやれと思いかけてたんだ。そうしたら未明にガツンと…」
家そのものは無事だが、中は至る所で本や食器が飛び出して目茶苦茶になり、しかも停電で真っ暗。家内と娘が避難しようというんで身支度を整えようとすると、眼鏡がどこかに吹っ飛んでしまって探すのに往生したそうである。
そんな具合だから大切な携帯電話も忘れて避難所の小学校に行き、仕方なく一人で取りに戻ったんだとか。

電話したのは夕方5時過ぎだったが、会社に行っていて、ちょうど避難所に戻ってきたところだという。
幸いなことに一族郎党皆無事で、安否確認には随分手間取ったそうだが「その辺は助かった。離れて暮らしている90歳の母親も無事だった」と安堵していた。
まだ責任ある地位に就いて仕事をしているから、わが身のことだけ考えていればよいわけではないだけに一層、腹ペコはこたえるのだろう。
仕事のことも部下のことも、わが身以上に心配で、両肩にのしかかっているのである。

地震から3日間は自分で食べ物を確保したりして命をつないでくれ、というのが政府の立場だが、自衛隊が配る握り飯2個とは1日当たりということじゃぁないのか?
それじゃぁ後片付けどころの話ではない。たまったものではないぞ。
政府はいったい何をやってるんだ。

アベなんちゃらは政府の会議で至極当たり前の指示を出すところをこれ見よがしにテレビに撮らせて流させているが、チャンチャラおかしい。
国民のためにやってるぜ、と宣伝にこれ務める姿勢と握り飯2個との間には相当の落差があるぜ。
選挙目当てがありありで、鼻に就くことこの上ない。被害に遭った国民のことより自己宣伝ばかりされたんでは被災地も浮かばれまい。
今は被害に遭っていない地域の国民だって、何時このような目にあわされるか、しれたものではないぞ。
こういうところに、本当に国民の安心安全を保とうとする政権かどうかが滲みでるのである。

雨がポツリポツリ降り始めたそうだ。
熊本を含めた九州の17日の雨量予測は150ミリだそうだから、相当な雨量である。
崩れてしまった地盤、緩んでしまった地盤にこれから水がしみこむ。
2次災害もさることながら、気分も相当滅入るだろう。

電話では「君のような元気と体力が欲しい」とも言っていた。
それほど気力を振り絞っているのだろう。
当面は励ますことくらいしか出来ないものなぁ。



わが家の庭で盛りを迎えたオレンジとグリーンのチューリップ
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