確実に春は来ているのだが、当地でソメイヨシノが開花するにはまだ弱冠の時間がかかりそうだ。
おまけに早朝こそ晴れていた空はすぐに曇ってしまい、開花に向けての準備は足踏みが続くことだろう。
昨日は円覚寺の日曜坐禅会だったが横田南嶺管長が不在で提唱はお休み。したがって8時から10時まで、途中短い休憩をはさみながらひたすら坐禅に集中した。
この坐禅が良かった。最近では味わったことのないくらいに…
どういうことか。
参加者は100人に遠く及ばないくらいだったのだが、それでも始まるとピタリと音が止んで、会場の大方丈は人気が消えたかのように静まり返った。
いつもは咳払いや鼻をすする音、もぞもぞ動く音が絶え間なく聞こえ、それが特定の限られた人からだけ出るのではなく、会場のあちこちからぽつぽつ立ち上ってくると、一つ一つはそれほど大きくはなくても静けさとは別物になってしまうのである。
それが、全くと言ってよいくらいに聞こえないから広い会場全体が静まり返るのである。
寒さが過ぎ去ると、これまで寒さに耐えるのに遣っていた気力をただ坐禅のみに回すことができるのかもしれない。
おまけに直日という指導役の坊さんが警策を持って坐禅している人たちの前を巡回するのだが、その足音すら聞こえない。気配すら消して移動している。
この直日にはチョッピリ感心した。
坐っている時は顔をややうつむき加減にして目は半眼にしたまま1メートルほど先を見るとはなしに視線に入れているはずなのだが、ボクは直日が目の前を通り過ぎたことに気づかず、「あれっ、何か気配があったな? 」と目を開き直して、それで直日のかかとと裳裾の揺れを後追いしたくらいである。
大方丈の中は自然光だけで薄暗いために見えなかったのではない。坐禅の邪魔をしないような振る舞いなのだ。
加えてこの日は初心者が少なかったせいもあるのか、体験的に警策を求める人が極端に少なく、ビシッ、バシッという警策が鳴らす音が少なかったことも静けさを保てた要因の一つだったように思えたのだ。
きっとボクの集中の度合いも高かったのかもしれない。
でも、好事魔多しとはよく言ったもので、静まり返った会場でとんでもないことが起きたのだ。
あろうことか、ボクのお腹が鳴りだしたのだ!
「ぐぅぅ~」とか「きゅるるるっ」「きゅぅ~ぅ~」とか、高低織り交ぜた音が静寂に耐えられないとでもいうようにボクのお腹から飛び出していくのである。
低い音でも両隣に坐っている人には届いているだろうし、「きゅぅ~ぅ~」という高音域の音に至っては向こう三軒両隣はおろか、さらに広い範囲にまで伝わったのではないのかしらん。
忘れかけたころの間隔で鳴るものだからその都度穴があったら入りたい気分である。
まてよ、最近腹の虫がおさまらないことが多いのに十分に怒りを吐き出させないで腹に収めてため込んでいるのが不満で、たまった腹の虫たちが発散を求めているのかもしれない。
心しなくては。
とんだところでとばっちりを受けたぜ、あん畜生たちめ!
円覚寺龍隠庵にミツバツツジが咲いていた
佛日庵では中国の作家・魯迅から贈られたハクモクレンの大木にようやく白い灯が灯り始めた
ソメイヨシノが後を追いかけてくるのだ
如意庵は非公開だが、門と玄関の間に枝を伸ばした花の終わったウメの木に隣のツバキの花が一輪咲いている。落ちてきて引っかかったのか、それとも住職が茶目っ気を出したのか。玄関に活けられているのも同じツバキの花のようである
しつこいけどまたミント菓子。ニッコリマークだけかと思ったらピースサインが出てきた!
コメント一覧
heihoroku
高麗の犬
最新の画像もっと見る
最近の「随筆」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事