平方録

焼きネギとトリ団子の鍋

今朝も寒い。
羽毛布団から抜け出すのには覚悟が必要である。例年寒さの底といわれるのは2月のどこかだから、先が思いやられる。
山形の友人から夜、電話があって、1日に2度も雪かきをしたとぼやいていた。
一日中間断なく降り続いているものだから、通路の確保などに朝と夕方2度も除雪作業をし、加えて無人の実家の雪かきまでしてきたそうだ。
気温はマイナス5度だから汗もかかなかったと言っている。山形市内ではすでに40センチ超の積雪があるという。

海沿いの街でも昨日は日の出前、マイナス2度を記録したし、円覚寺に出かけた7時40分時点の車の温度計は外気温マイナス1度を指していた。
円覚寺のある北鎌倉は鎌倉でも寒いところである。谷戸にあって冬の日がなかなか差し込まない境内では、それ以上に温度が低いはずである。
寒いせいだろう、毎回100人くらいいる参加者は半分の50人ほどに減っている。
2時間近く、じっと座っているのだから体温はどんどん奪われて、身体の芯まで冷え切ってしまった。手のひらを重ね合わせ、親指と親指の先を軽く触れるようにしてへその前に置いているのだが、その手が冷たくて冷たくて…

坐禅をする広々とした大方丈には暖房がないが、すべてのガラス戸や障子は締め切られているとばかり思っていたが、坐禅終了後に外に出て裏に回ったら、北側の庭園に面した廊下の板戸はすべて開け放たれているではないか!
何のことはない。内側の障子は閉めているものの、障子がないところもあるから、直接風が吹き込むのを防ぎこそすれ、外気そのものを遮断してはいなかったのである。
これでは外と同じではないか! 偲び入る冷気に震えるはずである。

山門を出て北鎌倉駅前の自販機で温かいほうじ茶を買って飲んだのだが、地獄に仏というのはいささかオーバーに過ぎるとしても、心底生き返った。
家まで歩いて帰る場合は、途中延々と続く急な坂道を1キロ以上上る必要がある。
生き返って一息つけたので、ちょっと元気が出たのかもしれない。大股でずんずん上っていったのだが、ゼイゼイハアハア、もう心臓が口から飛び出しそうになり、その上涙までこぼれてきたが構わずに上り続けたのだ。
人とすれ違わないのでできることである。あの心理状態というのは、どういうことだったのだろう。

先週は1時間ちょいかけて家にたどり着いたが、坂道での奮闘もあって昨日は10分以上も縮める50分で戻った。
まぁ格好の有酸素運動になりました。

寒い時は何てったって鍋である。
円覚寺に車で送ってもらうときに妻に頼んでおいたら「焼きネギとトリ団子の鍋」になった。
巷でフレンチの巨匠として知られている料理人の考案した鍋である。

鶏ひき肉に塩、コショウ、生卵、日本酒を加え、さらにみじん切りしたシイタケとレンコンを加えてよくこねる。それを団子にしてさっとゆでた後、茹で汁を漉し、しょうゆ、みりんを加えて味を調え、ごま油を一垂らしし、そこに改めて鳥団子を入れ、3センチのざく切りにして焼き目を入れた長ネギ、ピーラーで薄く削ったダイコン、そしてミズナの野菜を鉄なべにたっぷり加えて食べるのである。
みじん切りなどは妻に任せたが、それ以外はボクが味付けも担い、いい味に仕上がって妻も大いに喜んだのである。
最後はラーメンを投入して締めにしたが、鳥エキスのスープが絶品でこれまたおいしかったのだ。

寒波にはそろそろ退散願いたいが、なかなか良い一日だった。



円覚寺最奥部の黄梅院に日が差し込むのは太陽がかなり高く上がらなければならない。ミツマタの蕾はまだ固いが、開くのもさほど遠い日のことでもなさそうな雰囲気である


居士林裏の高台にある龍隠庵には冬の日がたっぷり降り注いでいた
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