このところの寒波の襲来とともに関東地方や東海地方は晴れて視界のいい日が続く。
お陰で裾近くまで真っ白な雪に覆われた富士山が"一糸まとわぬ"姿でくっきり見える日も多く、その美しさは何度見ても見飽きることがない。
では富士山は1年間にどのくらい姿を見せてくれているのだろうか…
そう思ってググってみたら、色々な所で観測していて、その結果が紹介されていた。
まず目についたのがこれ。
「江戸時代、高い建物がなかったころは、江戸からさぞや富士山が見えるだろうと思いがちですが、実際には舗装されていない道路や土埃の舞う畑が多く、しかも野焼きの煙などもあったりして、年間に見える日数は70~80日くらいだったと推定されています」
これは意外!まさに「へぇ~」「ほぉ~」。
では今時の実態はどうなっているのか。お膝元の富士市がきちんと観測していた。
それによると、2022年は一年間に富士山全体が姿を現したのが141日だそうだ。
富士市民は3日に1度以上、邪魔な雲がかからない素顔のままの富士山を間近に見ながら暮らしているわけである。
観測方法は毎日8時、正午、16時の3回、市役所の定点カメラで観測した結果だそうで、「全体が見えた」「一部が見えた」「全く見えない」に分類しているという。
その結果「全体が見えた」と「一部が見えた」を合わせると226日になるそうで、年間の3分の2近くは「どこか」が見えているようである。
お膝元なのだから当然か……。それでも前年対比では35日も減っているんだとか。
そして見える日数が多いのは11月~2月、逆に少ないのが6~8月だそうな
冬が見えやすく、梅雨から夏が見えにくいというのは、我々の経験値通りということになる。
では東京ではどうなのか…
民間気象会社の調査で、2014年の記録で少し古いが、チラとでも見えたのが138日だったそうだ。
つまり見える日は3日に1度程度ということになる。
これが多いか少ないかは人によるだろうが、50年前に比べると、何とこれが6倍増だという。
調査した民間気象会社では➀大気汚染の改善➁ヒートアイランド現象による空気の乾燥―によるものだろうと分析している。
確かにボクの高校生の頃(今から50数年前)、横浜市の市心部にあった自宅から郊外にある高校に通っていたのだが、市心部の上空を分厚いスモッグがすっぽりと覆っている光景を見る度に「あんな空気の悪そうなところに帰るのか」と憂鬱な気分になったものだ。
あれじゃぁ富士山なんか見えっこないと今更ながら思う。
大気汚染の改善というのは、統計が示しているように富士山の見える日を増やしたことは間違いない。
というわけでお膝元にはかないっこないが、「何となく1年を馴らしてみれば、3日に一度くらい見えているような気がする」という、いわば"皮膚感覚"が裏付けられたのでした。
稲村ケ崎からの富士山と江の島
ひとひらの雲もない
ここまでよく見える日も珍しい