わが家の狭い庭の一角、日当たりもよく一番目立つところにバラを集中的に植えている場所がある。
そこが今、草ぼうぼうでとても見苦しい。
ぼんやり手をこまねいていたわけでなく、春から夏に至るころに一度雑草に覆われかけた時には、蚊に食われないように完全防備の服装で庭に出て地面にはいつくばって雑草を引っこ抜いたのだ。
お陰でバラの根元はすっきりとし、風通しも良くなって見違えるようになった。
あの姿こそ、正しい庭の在り方であろうとボクも満足して悦に入ったものだった。
どこでどう歯車が狂ったのか。
それ以来、雑草を抜きに庭に出たことはただの一度もない。
今はメヒシバとやらで覆われていて、不思議なことに雑草はこれ1種類のみである。
夏が来る前に他の雑草を片づけてしまったせいだとしたら、メヒシバだって早めに引っこ抜いておけば、今頃は何の心配もいらなかったのかもしれない。
そのメヒシバもこの時期になると枯れるものが目立ってきて、いい塩梅かと思ったらさに非ず。
株の先に延ばした細い穂のような部分にはタネが出来ているのではないか?
だとしたら来年の庭は今年を上回るメヒシバの大群落になりかねない。
手抜きのツケは大きなものになりそうで、ヤレヤレの気分だが来年のことを今から心配しても始まらぬ。
なるようにしかならないのだから…
雑草の名前を確認しようと思って書棚からその手の類の本を引っ張り出して見ていたら、メヒシバとは「女日芝」と書くんだそうで、「日芝」は日当たりの良い所に生えるイネ科という意味だとか。
「男日芝(オヒシバ)」もあるけど庭には繁茂しないらしい。男は奥ゆかしいってことか?
ズカズカ上がりこんでのさばるようなことはしないってわけね。さもあらん。
メヒシバに戻ると「駆除するのがなかなか難しい雑草で、そのしなやかさと強さから『世界十大害草』に選ばれ、『雑草の女王』と呼ばれる」とまで書かれている。
何てこった !
わが家の庭は女王陛下のお気に入りですかい ?!
ヤレヤレだなぁ~
件の本には「メヒシバの別名は『相撲取り草』。2人で茎を交差させて引っ張り合い、茎が切れた方が負け。しなやかに曲がり、適度な力で切れる茎は草相撲にちょうど良い」って書かれていた。
今時、そんなことして遊ぶ子供がいる ?
「草相撲」って言い方も引っかかるなぁ。
田舎の神社の境内などにしつらえた土俵で、土地の力自慢の若者がフンドシ締めて取るのが草相撲なんじゃないの。
ほっぺた紅くした若い娘がキャ~キャ~…言わないか。
何はともあれ、ボクは女性嫌いの朴念仁のような人間でないことだけははっきりしているけれど、また変わり者に気に入られちゃったなぁ…
それにしても雑草の世界も階級社会なんだね、初めて知った。
大王とか右大臣、左大臣なんてのもいるんだろうね、きっと。
大王WHO?
あ~あ、「雑草の女王」って冗談だろぉ~
横浜イングリッシュガーデンの秋バラから