昨晩のこと、隣の坊主がボクの家の大谷石の石垣にサッカーボールをぶつける音が聞こえてきた。
折しも台風3号が接近して来ていて強い雨が降っている最中である。
確かにサッカーという競技は雨で中止になることなんてことはめったにないから、雨中のサッカーというのはアリである。
それにしたって、わざわざこんな天候の夜中にやることはあるまいと思うのだが、親と喧嘩でもしたのか、よほど面白くないことでもあったのか…
それで気を紛らせるためにボールを蹴り始めたのだろうか。
この坊主は地元の公立中学に通う礼儀正しい中学2年生で、サッカー部に属しバックスでレギュラーをつかんでいる子である。
毎晩、9時前後の30分くらい、1人でボールを蹴っているのだ。
親は「申し訳ありません。うるさくないですか」と恐縮気味だが、ナニ、いいんですよ、ボクだって50ウン年前のサッカー少年でしたから、と言ってあげている。
たまたまこの坊主と両親が連れ立って歩いてきたところに出会い、挨拶の中で出た会話だが、ボクが高校のサッカー部のキャプテンだったという話をしたら目を輝かせたのを覚えているのだ。
隣のおじさんとの距離感があの一言で急に縮まったように感じたのかもしれない。
もしかして裸になって体中にせっけんでも塗りたくっていたんだろうか。まさかなぁ。
ま、14歳ぐらいの少年にとって、熱くたぎる魂ともりもりと力をつけてゆく肉体双方のバランスがどうやったってちぐはぐになってしまって、自分の力ではどうにも制御できなくなることはあるものだ。
もしかして好きな女の子ができて、急に思いが募ってしまったのかもしれない。
そんな時は、豪雨の中でボールを蹴るなんてことはいともたやすいことで、むしろそうしなければいられないのである。ある意味で心地良いことかもしれない。
この年頃の少年というものは純粋であるがゆえに、大人から見ると、? という行動を平気で取ってしまうものなのである。
ボクのように馬齢を重ねてきた身にすれば、うらやましい限りなのだが…
今朝は台風一過の素晴らしい青空が広がった。
低い山際の途切れたあたりから水平に差し込んでくる新しい光が強烈なコントラストを見せて輝きの世界と影の部分を際立たせている。
台風特有のクルクルと方角を変える風の最後が北風だったと見えて、もたらした名残りが残っているのか、空気は涼しさを保ってさわやかな朝である。
それにしても豆台風だった。
雨は一時強く降りはしたが、長く降り続けるわけでもなく、風もさして強くなく、わが家の庭も見た目は風になぎ倒された植物もなく、いつもと変わらない。
台風一過、梅雨前線を蹴散らしてくれて一気に梅雨明けだろうと踏んだのだが、この程度の「豆」ではそんなことは望むべくもなっかたようである。
梅雨時の台風なんて珍しいものだからちょっとは期待したのだが、残念なことである。
ぎらつく強烈な太陽に早く身をさらしたい。
どうせやってくる真夏なのだ。早く来てもらいたいものである。
てなことを書いてきたら、何やら雲が増えてきたよ。まさか梅雨空に一直線で逆戻りってことはないだろう、オイ!
置き忘れて行った雲の間から朝の光がこぼれ始める=04:10AM
あんなアジサイ、こんなアジサイ=横浜イングリッシュガーデン
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