炎天下に自転車を漕いできたら、思いもかけず少しバテてしまったので昨日1日は休養日にして家でじっと本を読んで過ごした。
〝〇〇の冷や水防止〟対策という訳である。
なんか情けない気もするがしょうがない。
2階のベランダと部屋の境の網戸のすぐ脇の風通しの良い場所に、キャンプにも持っていける座り心地が良くてお気に入りのキャンバス地の折り畳み椅子を出して座る。
目の前にはカツラの木が2階の屋根の高さにまで茂り、ゴーヤのカーテンもあって室内は真夏でも30度を超えることは滅多にない。
しかし…
昨日は昼を過ぎるころから気温がぐんぐん上がり始め、時折海からの涼しい風が吹き抜けていくというのに、パソコンの脇に置いてある寒暖計のデジタル表示は何と「31℃」を示していた。
わが家では今夏初めての30℃越えといってよい。
涼しい木陰でのんびり読書なんてことを考えたのが間違いだったか…という思いが一瞬脳裏をよぎるほどだった。
まぁ、これも真夏にはつきもので、全国各地から聞こえてくる35℃だの36℃越えだののニュースを耳にするたびに、へぇ~、ほぉ~とうなり声は発するが現実感に乏しい暑さに比べれば、文句も言えないんだろうなと自分を納得させるのである。
この暑さ、どうやら日本列島の上に例年通り太平洋高気圧が張り出してくることによってもたらされるのだが、今年はさらにチベット高気圧なるものが大陸方面から張り出してきていて、いわば、掛け布団を2枚も重ねているような状態なんだという。
1枚だって暑いんだから2枚は推して知るべし…ということのようだ。
暑さは望むところだ。
夏大好き人間にとっては夏の暑さは織り込み済みで、冬の寒さに比べればなんてことはないのだ。
むしろ「らしさ」を演出してくれる好ましい存在として受け止めているくらいだ。
そもそも夏の間に蓄えたエネルギーで冬を乗り切るのであって、エネルギーはギラギラの太陽がもたらしてくれるのである。
その蓄積の邪魔をしに来る…というか、「もうすぐ終わりだよ」とわざわざ、これ見よがしに見せつけに来るヤツがいる。
それがあろうことか、昨日は2つも重なってこれでもかこれでもかと「終わり」を突きつけてきたのだ。
先ずはツクツクボウシ。
昨日初めて鳴くのを聞いた。あいつが鳴き出すと涼しい風が吹き始める。悔しいけどそういうことになっている。
ヤツは得意そうに鳴くのだ。
「お~し! 尽く尽く お~しぃ 尽く尽く (夏が尽く) ! 」と。
コンチクショウめ。引っ込んでろ ! と言いたい。
もう一つは太陽の角度。
限りなく北に寄った東の地際から上がり、これまたぎりぎりまで北に寄った西の地平線に沈む夏の太陽は必然的に天の頂に近い所を通過していくことになるから、朝夕を除いて部屋の中まで日が差し込むことはない。
しかも上がってから沈むまでの時間はとても長い。日が長い訳である。
逆に言えば、その光が部屋の中にまで差し込むようになると、それは太陽の軌道が下がって来たことを意味する。
太陽の軌道が下がる…つまり日の長さは短くなり、天の頂よりももっと低い軌道を通って沈んで行くってことなのだ。
日差しが家の奥まで届くわけである。
つまり、裏返せば夏が終わるということに他ならない。
昨日初めて、その太陽の日差しが部屋とベランダの境の敷居を越えて部屋の中に入り込んでいるところを「発見」してしまった。
正直言って嫌なものを見せつけられた思いである。
そりゃ確かに明日は立秋ですよ、間違いない。
季節は移っていくものだ。
でも、こういう証拠をなにもこれ見よがしに目の前に突きつけなくたっていいだろう。
気付かれないように、もっとさりげなく、そっと出来ないのかい。
ほらっ ! わずかだけど日差しが家の中に入り込んできちゃったじゃないか
わが家でホトトギスとミズヒキが咲き出した どちらも初秋からの植物だね