金曜日の午後のことで、寺の境内で吟行していた時に写真を撮ろうとしてスマホを取り出した時に気づいた。
文言を正確には覚えていないが、宅配業者の佐川急便を名乗り「あなた宛ての配達物があるが不在だった。詳細はここを見てください」と佐川急便とおぼしきアドレスが表示され、発信者のものと思われる「080」で始まる携帯番号が表示されている。
吟行中だったため、しょうがないなぁと思いつつそのままにしておいた。
吟行が終わっても家には戻らず、宇都宮の孫娘のところに泊りがけで出かけることになっていて、戻るのは3日後の月曜日である。
急ぎの品でなければよいが、誰からだろう、などと思いつつ、妻も家を出て一足先に出かけているので、放置せざるを得なかったのだ。
ここまでの経緯でのミソは、ボクも妻も家を空けていたという点である。
もしどちらかが家にいればこんなメールが届いても「?」か「!」と無視するだけである。
どこからかボクの行動を監視していたわけではあるまいが、確かめる術がないまま、ついつい疑うということを忘れてしまったのだ。信じてしまったのだ。
偶然なのだろうが、これが一つ目の〝落とし穴〟と言ってよいだろう。
そして月曜日。メールのことを思い出し、佐川急便にアクセスすれば荷物の詳細が分かるようになっているのだろうと思い込んだのだ。
時代が進む速度は速い。この場合にそういう追跡システムが出来ていたとしても節具ではないと思い込んだ。
そして示されたアドレスをクリックしてしまったのだ。二つ目の落とし穴。
しかし、目当ての追跡システムにたどり着けず、思い余ってメールとともに表示されていた電話番号にかけてみると、男性の落ち着いた声で「あぁ、それはウイルスですよ。ボクもやられました。早く削除しないとあなたの番号が世界中に拡散していたずらに使われます」という。
もちろん、直ちに削除したが、気になるのはその後しばらく経った後に、多分アップルからだと思うのだが「天津、天津市辺りであなたに成りすまそうとする行為がありました」(正確ではない。確かこういう趣旨のことだった)という表示が届いた。
これは既遂なのか、それとも未遂で終わったのか。
その辺りは判然としないが、まさか! ボクのアドレスとパスワードが持ち出されて何かに使われようとした?
ボク専用の小遣いを蓄えている銀行口座に大した金額は残っていないから心配していないが、クレジットカードの情報を使って高額の買い物でもされたら困る。
天津? 中国じゃないか。
とにかく大切なことは、届いたメールにいちいち反応してクリックなどしてはいけないということだ。
今回の宅配便にしたって、留守なら不在配達を知らせる宅配業者のメモがポストに入っているはずだから、それを見れば済むことである。
その原則を、ついつい忘れてしまったことがいけない。家に戻るのは3日後だなどと言うことは全く関係ないことだった。
宅配便や届いた荷物を留守で受け取れななかった――などと言うことは日常ごくありふれた事で、そこに落とし穴が開いているというケースのようだ。
念のため、クレジット会社に問い合わせて見なくては。
うかうかできない世の中である。
ニューヨークのタイムズスクエアの大型スクリーンに広場にいる人が映し出される。ボクもこの中に写っている=2010年8月
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heihoroku
ひろ
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