大急ぎで風呂を沸かして汗を流した後、冷蔵庫にあったアルミ缶入りのカップ酒を取り出して缶詰のニシンの昆布巻きを肴にのどを湿らせたのは、姫と別れてきた気持ちの高ぶりを鎮めるためで、ゆっくりしたランディングというものが必要な時もあるのだ。
加えて、食事中に3歳になったばかりの妹君が遊びながら一向にはかどらないのを母親に叱られ、それに口を添えたボクの一言が大泣きの糸口になってしまったようで、さらに母親に怒られひと騒ぎになってしまったのも気になっていた。
幼児にとって男の口調は自分が叱られているように感じてしまうことがあるものらしく、それが拍車をかけてしまったのかと思うと、そのまま何事も無かったように寝てしまう気にもなれなかったのだ。
癇の強い子だけに母親も時々手を焼いているようだが、男のボクに限って言えば今後は接し方に注意した方がよさそうである。
自分の子どもは厳しくしつけてきたつもりだが、孫というのは一歩引いた存在だけに距離感を間違えないようにしなければいけないなぁ、と今更ながら感じさせられた。
おっとりしていて物わかりも聞き分けも良い姫とは大違いで、どう成長していくのか楽しみでもある。
かくして2泊3日の滞在もあっという間に過ぎたわけだが、また明日から旅に出る。
と言っても今度の旅は突如降って湧いてきたようなもので、そもそも妻の妹が姉であるボクの妻に持ち掛けた山陰2泊3日の旅である。
今年1月に93歳で旅立った義母の父親が山口県沖の日本海に浮かぶ青海島出身で、そのルーツの地を一度訪ねてみたいと思っていたところに青海島に立ち寄るツアーを見つけて姉妹で申し込んだのだった。
その後、妹に同行者が加わり、部屋割の関係から「お姉さんんも旦那を誘ったら? 」ということになり、同行することになったのだ。
山陰観光の定番である津和野や萩を中心としたツアーで、ツアー旅行というものに参加したことのないボクは妻から「ワガママは言わないように! 」と念を押されている。
ところが、昨日の帰りの電車内で見知らぬ番号で携帯電話にかってきた電話に出てみると、そのツアーに付き添うという添乗員からで、いくつかの報告と確認がありますという。
何だよ、たかが2泊3日の国内旅行で…と思い、しかも電車内だったので、メールで済むならそうしてくれと言ったら、ショートメールが届いた。
メールで送って寄越した内容を見ると事前に送ってもらった説明書を見れば分かることで、親切は嬉しいが限度ってものもあるだろうに、とヤレヤレな気分である。
かくなる先制パンチを浴びたからには、妻に言われたとおり黙々と列の後ろに従い、大人しく見るべきものだけを見るよう腹をくくることにするしかない。
旅は自由で気ままにありたいが、そうはいかないこともあるし、決められたとおりに行動するというオプションを味わうのもまた経験というものだ。
それにしても5泊6日の三陸の旅を終えたばかりで、今年の秋は旅回りの芸人になった気分である。
フーテンの寅さんのような風任せが理想だけれど……
スリリングな滑り台とテニスの壁打ちが出来るというので、ドライブを兼ねて隣の鹿沼市の運動公園へ
塩害の鎌倉では望むべくもないきれいな黄葉に出会う
壁打ちに興じる姫
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heihoroku
ひろ
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