先週の土曜日、天皇誕生日の休日の午後、車で坂の下から国道に出て波打ち際沿いを小動岬まで走ってみたら、ほぼすいすい走れたんである。
ただ、稲村ケ崎周辺の信号機がいくつか並んでいるところはノロノロ運転だったが、そこを抜ければ何のストレスもなく通り抜けることが出来た。
もとはと言えば、西へ向かう流れの中で、鎌高前駅の交差点で右折して踏切を渡りたい車が後続の車を通せんぼしてふさぐので、ここは大変な渋滞個所として悪名をはせていたところなのだ。
信号機があるうえ、対向車がなかなか切れず、しかも江ノ電が通過するたびに遮断機が下りて有無を言わさず流れを遮断するものだから、右折機会そのものが相当限られるうえに、土日は観光の車が殺到するのだから推して知るべしなのである。
この鎌高前を起点に上下線で果てしなく渋滞のしっぽが伸びるのだが、それを知っていながらなお車が減らないのは、このあたり江の島から逗子の渚橋にかけては波打ち際を通っているので眺望絶佳なことに加え、あっという間に通り過ぎるのではなくて、渋滞のおかげでゆっくりと座りながら海の景色を堪能できるという、変な特典が付くからである。
急ぐ人は近寄らない道路だが、恋人同士なら肩寄せあってノロノロと進むのは誠に好都合で、富士山と江の島が並んで海の上に浮かぶ光景に歓声を上げ、入道雲が沸き上がる雄大な光景に見惚れ、夕日に染まる海原を眺めて涙ぐんでみたり、仮に醜男醜女であったとしても舞台装置が幸せなカップルを際立たせてくれるのだから、下心のある男は彼女をここに引っ張り出すんである。
悪名高き渋滞はかくのごとくに生まれていたわけだが、下心男どもはこれから先どうするのだろう。
踏切で通せんぼされても後続車に影響が及ばないように、改良工事では右折レーンが4台分確保された。
これが今のところ案外効果的で、逗子方面から江の島方面に向かう場合の下り線の渋滞はほぼ解消してしまっている。
天皇誕生日の午後2時過ぎに通ったら、これまでなら大渋滞が起きている時間帯だが、稲村ケ崎付近の信号機が並んでいる付近でノロノロ運転を余儀なくされたが、それも駐車場状態ではなく、時速14、5キロで進めたから許容範囲なのだ。
鎌高前はスイスイ。キツネにつままれた気分である。
これが春夏秋の観光シーズンの真っただ中の土日祝日だったらどうなるのかは予断を許さないが、少なくとも駐車場化は避けられるかもしれない。
一緒に工事が進められている擁壁工事は終わっていないので、全体の完成はもう少し先のようだからこの工事に関する評価もまだ待たなければならない。
ボクはもともとこの工事に反対だったのだ。
ボクの主張は鎌高前交差点の右折禁止。小動岬かその一つ先の信号で右折させれば済むことだと思っていたのだ。
最大の理由は、それでなくとも貧弱になりつつある七ヶ浜の砂浜をこれ以上痛めつけ、拡幅工事のために狭めてしまってよいものかという疑問だった。
第一、右折車の大部分はショートカットのための通過車両のはずである。地元の人のためには時間指定で右折も出来るようにしておけば事足りるんじゃないかという主張だ。
工事に着手するまでに6、7年もかかったのは地元住民やサーファーまでも巻き込んで、その辺りも含めたせめぎあいがあったためだが、それゆえに最小限の拡幅に落ち着いたという経緯もあって、まぁやむを得ない部分もあるのだ。
しかし、そういう経緯も踏まえると、肝心なのは砂浜の養浜対策であるのだが、そちらの方は一向に何の音沙汰も無いというのがいかにも無責任な役人のやりそうなことで、腹が立つというより情けなくて涙がこぼれそうである。
あとは工事が完全に終わった後、砂浜がどこまで元通りにされるかだ。ハマヒルガオの群落なんかは元通りになるんだろうね。

悪名高き渋滞箇所だった江ノ電鎌倉高校前の交差点はスムーズになりつつある

右折専用レーンが奏功しているらしい

国道を支える擁壁工事が終わった個所