歌舞伎座か他のどこかの劇場の楽屋にボクはいた。
どういう経過でそうなったのか、まったく分からないのだが、ボクの出番が迫ってきているらしかった。
演目も分からないのだが、主役らしい。
歌舞伎は何度か見に行ったことはあるが、自分が演じるなんてことは考えたことも無い。
それでいながら、その段階でも特に何の抵抗感も無かったのは我ながら不思議と言えば不思議なことだった。
それはその気になっていたということだろうか…
周囲の人がぼちぼちお願いします、というような視線を向けてきて我に返った。
といっても、どんな衣装を身にまとっていたのかとか、着心地とか、そういうディテールは皆目わからない。
自覚があるのは、出番ですよと聞いて我に返ったのが、舞台に立ったところでセリフをどうすんのサと言うことだった。
スポットライトを浴びて舞台に出て行ったって、ボクは何をしゃべればいいのサ、なぁ~んにも覚えていないし、覚えるどころかどんなセリフがあるのかさえ知らないんだ。
そう言ってしり込みをしながら世話役に申し出たら、大丈夫です、舞台にセリフが出ますからそれを見てしゃべればいいんですとニベもない。。
ちょっと安心しかけたが、そんな場合じゃないだろとすぐに気づいた。
一度も通して読んだことも無いのに、舞台のどこかに現れるセリフを探して目で追って、それをそしゃくした上で感情をこめてしゃべるなんてことが瞬時にできるわけがないじゃないか。
そんなことが無理だってことは、ど素人にだってわかることだろうに。
第一、これが前門の虎なら、後門にはオオカミが控えている。
つまり、ボクはどうやって舞台で振る舞えばいいのサ。
ボォ~ッと突っ立ってるだけってわけにはいかないんでしょ?
どうやって歩くのサ。
舞台のどこをどこまで動いたらいいのサ。
手はどうするの、首はたれるの、曲げるの、曲げるんだったら左右どっち、顔はどんな表情を作ったらいいのサ。
この時すでに世話役と思しき人はどこかに消えてしまっていた。
頼るべき人は誰もいない。
さぁどうする。
いよいよ進退窮まったなと思いつつ、こういう時、夢だったら覚めれば何事もなく逃れられるんだよなぁという思いが頭をよぎる。
そうだ、とりあえずトイレに行って小用を足してこようと思ったのだ。
夢ならそこで覚めるはずだ…
それにしても恐ろしい夢を見たものだ。
用を足し終えてベッドに戻りしなに、このまま寝てしまったらまたさっきの続きでオロオロするんだろうな、いやだなぁとマジに思った。その途端、暗い部屋にいる自分に気が付いて「アレッ、ボクは家にいたんだ。歌舞伎座じゃなかったんだ」とようやく我に返ってヤレヤレと胸をなで降ろして安心したものだった。
このピンボケぶりはカレーによる寝ぼけ症状なのか、それとも「寝」が取れかけようとしている兆しなんだろうか。オ~こわっ !
25日から江の島のヨットハーバーを拠点に五輪と同じ相模湾でワールドカップが開かれるため、一気に国際色豊かになってきた
GBRはイギリス、ARGはアルゼンチン、TURがトルコの各艇
こちらにはフランス艇とブラジル艇
カナダ艇と中国艇。左奥にNo33のSGPのシンガポール艇、右奥にアメリカ艇
HUNってのはハンガリーだが内陸国で海がないはずだが…
五星紅旗の中国ボード
ドーバー海峡を挟んだ両国
腰越漁港に帰って来た遊漁船が警笛を鳴らしながら練習に出かけるヨットを蹴散らすように進む 行儀悪いし品が無いや
見出し写真は各国の賑わいぶりにも我関せずのカモメ