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平方録

現代社会の停滞と限界…なんちゃって

2020年が開けた。

早朝は雨が降っていたが、陽が昇るころになると東の空から晴れてきて、食卓を囲むころにはすっかり青空が広がった。
気温は10度に満たないが風がほとんどなく、穏やかな元旦の朝である。

お屠蘇の代わりに白い薄紙のベールを身にまとった「八海山」の特別本醸造の栓を抜いて乾杯し、雑煮の朝食を済ませた後、近所の氏神様に初詣に行く。
小さな神社だが、急な階段を上がった先にある巨樹に囲まれた社の佇まいは悪くない。
普段は閉じられている社の扉が開け放たれていて、お参りに来た人は社に上がって静寂の中で柏手を打つ。
大勢の人が詰めかける鶴岡八幡宮では本殿の階段にたどり着くだけでも一苦労で、空いている時で1時間超、下手をすれば2時間は待たされるのを覚悟しなければならないのとは雲泥の差だ。

ご近所さんも同じような行動パターンと見えて、わずかな時間に2軒の御一家と新年のあいさつを交わすことになった。
何処も穏やかな新年を迎えている様子なのはお互いに喜ばしいことである。
氏神様の後は娘一家の希望によって市内の中心部に出たが、八幡宮には遠くからあいさつしただけで近寄らず、恵比寿さんで知られる本覚寺と海辺の光明寺に出向いて波打ち際を散策しながら戻ってきた。

3が日の鎌倉の良い所は市心部への厳しい交通規制が敷かれていることで、バスとタクシー以外は原則として車の乗り入れが禁止されることだ。
お陰で道路はガラガラだからバスは時刻表通りにスイスイ走ってくれる。
3が日以外にも年間を通じて実施してくれたら画期的なことなのだが、初めての武家政権が打ち立てられたころのような知恵と力は湧いてこないようで、社会の進歩を自慢する現代人の貧困さというものも又、浮き彫りになるという訳なのだ。

おまけに近年のバス運転手のなり手不足が響いているのか、元旦の昼前だというのにバスの本数が少なく、20分近くも待たされた。
鎌倉の主要路線の一つなのだ。せめて10分間隔くらいで走らせてもらわなくては。
厳しい規制を敷く代わりの唯一の公共交通機関にしてはいかにも脆弱な気がする。

バス会社だけでの対応が無理なら行政も助け船を出す必要があるだろう。
なにせ、地球温暖化防止の観点からだって車の排ガス規制につながる施策の強化は意義のある事なのだから。
3が日以外の実施を強く望んでいるのだが、ジコチュー万歳が性の集合体がこの世間だとすれば、まぁこの種の革命は金輪際起こらないだろうな。
こういうのを、はかない初夢と言う。
いや、夢にさえ出てきそうにないか…


材木座海岸では水底に出来た波紋と水面の波紋が重なってキラキラと輝いた





材木座海岸

帰りに乗ったバスのナンバー……ビンゴ!


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