季節は今まさに七十二候でいうところの「半夏生」。
かつては夏至から数えて11日目をそう呼んだようだから、今の暦では7月2日ころになるが、「現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日となっている」とウィキペディアにはある。
なんのこっちゃ ? で、昔どおり「カラスビシャクという薬草が生えるころ」であり、「ハンゲショウ(カタシログサ)という草の葉が名前の通り半分白くなって化粧しているようになるころ」という説明の方がしっくりくる。
実際、ボクが時々散歩する池のある森には「葉の半分が白くなる」ハンゲショウの群落があって、まさに今、森の一部の林床が緑色と白色の2色で彩られ、異彩を放っている。
ところが、1週間前くらいまでは確かに葉の半分程度だった化粧はもはや、年増芸者の如く、顔中を塗りたくるほどに葉全体が白くなっていて、半夏生(半化粧)どころか「全化粧」状態に突き進んでいるのを見るにつけ、オイオイと声を掛けたくなる。
これじゃ看板に偽りあり、だぜ。
大袈裟に言えば化粧合戦ともいうべき様相を呈してしまっていると言ってもいいくらいで、日本では「ほどほど」という言葉も大切にされているんだよ、と苦言の一つも呈したくなる。
物事は何事も余韻というものが必要なのになぁ…と思うことしきりなのである。
「ほどほど」が必要とされるものに、雨の降り方というものもある。
時は正にレイニィーシーズン、梅雨真っただ中。
そして半夏生のころに降る雨を「半夏雨」と呼ぶそうで、「大雨になることが多い」とされる。
梅雨の末期に降る雨が大雨となって洪水やら土砂崩れなどの大災害をもたらすのは悲しいかな、毎年列島のどこかで繰り返される悲劇の一つだ。
「はんげあめ」と呼ばれ、どこか雅な感じさえ漂うこの言葉との落差が大きいだけに余計、心配になってくる。
今年は洪水などの被害の心配に加えて、仮に避難所に非難しなければならなくなれば、コロナの心配も付きまとう。
まさに前門の虎後門の狼状態になるわけで、命カラガラ逃げて来た被災者にしてみれば、そんなべらぼうな…とべそをかきたくなるくらいの打撃になりかねない。
とにかく八百万の神には「ほどほど」に関して十分に気を配ってもらいたいと願うや切である。
ハンゲショウの群落
葉の半分どころか…
ハンゲショウにあらずして顔中おしろいを塗りたくり…!?
おまけ ちょっとピントが甘いけど、同じ森の湧水のすぐ横に1輪だけ咲いていたツユクサ