「ナイアガラ」というブドウの品種の存在を認識し、その甘さと独特の香りに気づかされたことである。
山形はサクランボをはじめとして果物の種類は豊富だし、海の幸、山の幸を問わず食材の王国と言っても過言ではないとボクは思っていて、随分とうらやましい思いを抱いてきているのだ。
その食材の王国を旅行中、所々で道の駅に立ち寄るのを楽しみにしていたのだが、たまたま立ち寄った道の駅の周囲がブドウの産地らしく、売り場の大半をブドウが占めていたんである。
売られている品種はご多分に漏れず今大人気の品種のシャインマスカットで、それが山盛りになっていたのだが、ボクは売り場の一角に掲示された注意書きが気になった。
「ナイアガラは宅配便での発送は出来ません」と書かれた注意書きである。
なぜ宅配便では送れないのか。そもそもナイアガラとはどんな品種なのか。甘いのか酸っぱいのか。
ボクが知り得たブドウの品種はほとんどが赤ワイン由来の品種であり、しかも発酵させているものばかりだから、元がどんな味なのか皆目分からない。
というか、元の味などどうでもよくて、出来上がったワインの出来がどうかが肝心なのだ。
ゆえにボクが一番シンパシーを感じているブドウ品種はカベルネ・ソービニョンであり、メルロー、ガメイ辺りがそれに続くのである。
話を実に戻すと、ボクが液体としてでなく個体として口にしたブドウ品種は先ほど挙げたシャインマスカットに加え、ネオマスカット、デラウエア、巨峰、アレキサンドリアくらいである。
食卓に出されてそれと判別できるのはシャインマスカットと巨峰くらいだろうか。
マリリン・モンローの映画「ナイアガラ」は見たけれど、ブドウだよと言われてもピンとこない。
で、宅配便では送れない理由。皮が柔らかく、実も柔らかいので傷んでしまうんだという。
なんだ、マリリンちゃんを粗末にするな、とっても大事に大切に大切に扱えってことじゃないの。
最初からこれはマリリン・モンローです、大切に扱わなければいけませんので宅配便では送れません。送る場合は専用の高級リムジンが必要です、という注意書きにしておいてくれれば一発で納得できるのに……
そぉ~だったのか! ブドウ界のマリリンちゃんだったんだ。
シャインマスカットなぞ、いつでもスーパーで手に入る。だがしかしマリリンちゃんは暮らしているところに出かけていかなければおいそれとは会えないのならば、連れて帰るしかあるまい、一緒に!
というわけで懇ろのご対面となりましたよ、わが家で。
2人きりで、と言いたいところだけれど邪魔者が1人、ババアが、もとい妻がテーブルの反対側にいましたけれどもね……、どうも画竜点睛を欠くというか、人生ってこんなモンですかね。
そしてマリリンちゃんの、いや、もとい、ナイアガラの印象。
甘ぁ~い! しかも、とっても独特の良い香り!
特に薄衣と肌の間…、いやいや、またまたもとい、皮と実の間です、皮と実の間にとろけるような特別の旨味と甘みが……
もうメロメロ。さすがはマリリンちゃん。
この香りはフォクシー・フレーバーと言うんだそうな。アントラニル酸メチルという物質に由来し日本語では「狐臭(こしゅう)」と訳すんだそうである。ブドウをキツネやシカが好んで食べたことからこの名がつけられたそうで、ヨーロッパ人は好まないそうである。
香りの名がちょっと気に入らないけど、ヨーロッパ人にマリリンちゃんの魅力が分かってたまるか。
かくしてボクのマリリンちゃんとの逢瀬は甘い香りと共に忘れられない記憶を残したのであった。また会いに行くからね。
粒は大きくもなく小さくもなく、甘くて良い香り…… これがマリリン・モンローのナイアガラ
ナイアガラとは関係ないけど江ノ電のいる風景 おまけ
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