平方録

人生ってアゲインスト

昨日のブログにフキ味噌のことを書いたら、妻がさっそく晩ご飯に出してくれた。
文字通り薹がたってしまったものもあり、量はさして多くなかったが“春の苦さ”とでもいうのか、独特の青臭さと苦さは冷酒にピッタリで、春というものを実感するに十分である。

この日は朝からよく晴れていたし、寒くなかったので朝食後に自転車に乗ってきた。
実は12月の初めころから急に温度が下がったこともあって、日頃家でやっていた腹筋などのエクササイズをさぼってしまっていたんである。
その上、正月に美味しいものをたくさん食べたせいもあって、いささか腹周りが気になりだしていたところなのだ。
薄着になる前に2、3キロ絞っておく必要がある。

温度計を見ると12、3度しかないのだが、南風が吹いているためか、何となく冬の恰好はそぐわない気がした。
で、上半身は綿の薄手のセーターのようなものを素肌に着て、その上に少し厚手のウインドブレーカーの2枚、下半身は短パンの下にタイツを履いて出掛けて見た。
長ズボンで漕ぐと暑さに蒸れてどうしようもなくなるんじゃないかと思ったのと、春めいているんだから、それなりの服装があるんだろうと考えたわけである。
これはズバリ正解で、まったく寒さは感じなかったし、足回りが解放された気分で、こうでなくっちゃと言う軽やかさが新鮮だった。
海沿いに出て見れば富士山が箱根連山と丹沢山塊を従えてすっくと立ち上がっているし、空と海の天地はどこまでも青い。

しかし誤算というのは人生につきもので、海岸は強風である。しかも、沖を見やれば白波が立つている。
波頭が強風で崩されるがゆえに、白くなるのである。こういう状態の海を指して「うさぎが跳ぶ」とか「羊が現れる」などと表現する。
沖はウサギだらけで、しかもぴょんぴょん跳びはねているのだ。

湘南海岸の自転車コースは西に延びているんである。
走りだしたのはいいが、南西の風が吹き付けているのだから、体感的には真正面から風を受けて走ることになる。
おまけに、風で吹き飛ばされた砂粒が顔に当たる。
それでなくても自転車には風が大敵である。
本来なら撤退の場面である。白旗を掲げて降参の場面である。

しかし、せっかく短パン姿で颯爽とやってきたんである。
おめおめ引き下がれますかってんだ、これが。こうなりゃ意地ってぇのをみせるしかあるめぇ。
水族館前から相模川左岸の堤防まで約11キロ。平均速度は14キロ程度にガクンと落ちたが、とにかく「人生ってやつはいつだってアゲインストさ」とうそぶきながら漕いできた。
負け惜しみじゃないが、こうして負荷をかけるのも案外よいトレーニングなんですぜ。

しかも、帰り道は文字通り“追風に帆かけてしゅらしゅしゅしゅ♪”ってな具合で、時速もあっという間に30キロ超。
うさぎに負けず、オイラは宙を跳ぶがごとく、でしたな。
あちこちに砂が堆積していてハンドルを取られてしまうので、そこそこにしたけれど、“人生楽ありゃ苦もあるさ~♪”の逆で、いやはや自然の力はたいしたもんですなぁ。

帰りに隣町の魚料理で知られた船医で作家の精神科医と同じ愛称の店で“サービス海鮮丼”というのを食べてきた。
いつも長い行列で敬遠することが多いが、すんなり入れた。ブリやカツオ、シメサバ、ムツ、サワラなど7種類の分厚い切り身が2切れずつとボタンエビ?が1匹乗っていて、1000円也。
サービスの冠を載せているだけのことはありますな。これはなかなかよろしい。中身は季節によって変わるんだろうけど、良いところを見つけた。



箱根連山と丹沢山塊を従える富士山


幟旗はちぎれんばかり


まぁ納得のサービス海鮮丼
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