平方録

多様性こそが地球の魅力、活力の源!

まるで台風が来たように1日中強風が吹き荒れた。

おかげで植物に被害が出た。実に迷惑な話である。
わが家は海岸から吹いてくる南寄りの風の通り道にある。
だから夏は格別に涼しくてクーラーはめったに使わないで済んでいるような環境である。
だが台風や強い低気圧が通過するようなときは風に対する防備が必要なのだ。

天気予報は大雨には注意を呼び掛けていたが、強風については触れていなかった。
だからこちらにも油断があったのは間違いない。越冬して実をつけたど根性トマトの子孫2本と今年買った苗の脇芽を掻いたものを鉢に挿していたもの1本が30センチ超に育っていたのだが、3本とも強風でなぎ倒されて、しかも掻き芽から育てた1本は根元からポッキリ折れてしまった。
夕方、雨が降り止んだのを見計らって倒れた苗には添え木をしたので何とかなるとは思うが、折れてしまったものは再び土に挿しこんでおいた。2度目の挿し芽ということになるが、果たしてどうなることか見ものである。
加えてプランターで伸びてきていた40本ほどのルッコラの2、3センチになったばかりの苗もすべて倒されてしまった。
倒れた苗のうちの何本かの復活は無理だろう。大損害と言ってよい。こんな背丈の低いものまでやられたということは、いかに風が大暴れしたかという証拠である。

しかし、つくづく思ったのだが、こぼれダネから芽吹いたど根性トマトの子孫は倒れはしたものの茎に被害はなく、丈夫でたくましいのだ。大したものである。
それに引き換え、折れた苗はF1種といって、人間にとって都合がいいように粒が大きくなるとか、甘みが増すとかの性質を強制的に付与された人為的交配種で、1代限りの植物なんである。
見た目は立派で、食べれば甘い実が生るのだが、植物が本来持っているはずのしなやかさとか強靭さというものがないことに驚くばかりである。

今、スーパーや青果店の店先に並んでいる野菜はトマトをはじめ、その多くがF1種の実だったり葉っぱだったりするのである。
こうしたF1種はいわばバイオテクノロジーの成果として自然界ではめったにあり得ない特性同士を人為的に掛け合わせて作るという点において、華々しく登場しているのだが、その先に待っているのは遺伝子組み換えであり、そうなるとまた大きな問題が生じてくることになる。
一部ではすでに遺伝子組み換えの植物が誕生しているし、そこは無関心でいてはいけないところだろうと思う。

人体への影響ということを考えてみると、それは遺伝子組み換えの前のF1種だって「生命が操作された結果」ということを踏まえると、そんな野菜ばかり食べていて大丈夫なんだろうかと、ちょっと気になるところではある。
「生命が操作された結果」という言葉はそもそも恐ろしく、かつ不気味な響きを秘めているように思える。

一方で、F1種の普及は種の多様性をどんどん奪い去っているんだそうである。
そりゃあそうだろう。収穫第一、見た目第一などという特性ばかり追い求めていけば、これまで存在してきた植物は見向きもされず、駆逐され、絶えてしまうことになる。
おいしいものが口に入るだけで、後は無駄な植物なんだから必要ないじゃん、という論理は優秀な人間だけが地球上に暮らしていけばいいんであって、それ以外の人間はクズ同然であるから不必要である、という理屈につながっていくだろう。
だとすればその先のストーリーは個人個人が勝手に想像してみればいいんであって、ボクなんてここに書く気にもならない。第一駆逐される側の人間なのだ。

美人もいればブスもいる。眉目秀麗な青年がいて、醜男と呼ばれる青年がいる。何度も復習しなければ覚えられない頭脳があるかと思えば、チラッと見ただけで記憶してしまうような頭脳も存在する。気立ての良い人、間抜けな人、抜け目ない奴、怒りっぽい人、いつもクヨクヨめそめそしている人、人格者、人格破綻者、悪党、善人……
それが一色に染まってしまう社会なんて、考えただけでも退屈で、恐ろしい社会じゃないの。そんなのクワバラクワバラ。まっぴらごめんだね。



ヤマアジサイの変種の「バイカアマチャ」(梅花甘茶)。甘茶の木に姿が似ていて、花が梅の花に似ていることからつけられた名前で、茶花として人気が高いんだそうである。


「キツリフネ」。ツリフネソウに似ているが、別種だそうである。この花も茶花として人気だそうだ。


名前は不明だが、白いアジサイがほんのりと赤く染まったところは実に上品で艶めかしい。脇にぶら下がっているのがバイカアマチャ。
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