南関東では遅れに遅れたソメイヨシノが開花して数日が経ち、ようやく見頃になっている。
これと前後して我が居住地エリアでは周囲の山々に点在するヤマザクラも満開になってきて"その時"を迎えている。
開花が遅れたことは例年と違う最大の違いだが、それに加えて今年の花見シーズンを特徴づけているのが「明るい陽光に恵まれない」ことだろう。
愛でるにせよ写真に記録するにせよ、サクラという花(もちろんサクラに限らず多くの花に言えることだが…)は青い空と明るい日の光によって、その魅力が一層輝くわけで、肝心の青い空も明るい日の光もない所でいくら普段通りに咲いても、そのアピール力には限度があるというものだし、魅力は半減以下に落ちてしまう。
花の時期になると漢詩の「勧酒」の井伏鱒二訳がすぐ思い浮かぶ。
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
花に嵐はつきもので、毎年見頃のころになると決まって強風の予報が出たりして、一晩で花を吹き飛ばされてガッカリさせられもするが、「お日様が出ない!」というシチュエーションはあまり記憶にない。
天気予報を見る限り、このサクラが青空から遠ざけられる現象は南関東だけの地域限定版のようだが、何ともつれない話で、サクラ自身はいつもと変わらず咲いているのだろうが、愛でる側にとっては物足りないこと甚だしいものがある。
わが鎌倉はヤマザクラのきれいなところで、例年ならカップ酒を携えて幾つもの尾根道をたどり、点在するサクラを愛でて歩くのだが、天候に恵まれない今年はとてもそんな気になれない。
そんなわけだが、せめて近所くらい…と、雨が落ちてこないのを確かめて重い腰を上げてみた。
日の光さえあれば木々の新芽とヤマザクラの競演がひときわ生き生きと輝くはずなのに…
今朝もベランダが濡れていた 今日も1日中雲が垂れこめるらしい
以上、近所の池と森の公園にて