花にそむ心のいかで残りけむ 捨てはててきと思ふわが身に 西行法師
鎌倉市の西部に宅地開発の荒波から辛うじて守られた48haもの緑の塊がある。
広町緑地と呼ばれるその最奥部の頂には樹齢200年を超すといわれるサクラの古木が人知れず存在し、花の季節になると奔放に伸ばした枝という枝に薄いピンクの花をさかせる。
「大桜」と呼ばれるそのサクラはヤマザクラとオオシマザクラの雑種だという説があるが詳しいことは分からない。
それはともかく、この緑地のヌシのような大桜が花を咲かせる時期にこの花枝の下に入り込み、簡素なベンチに座って大桜と同じ空気を吸いながらジッと静かにしていると、何か得体の知れない力に支配されるかのように心地よく、我を忘れそうになることがある。
この晴れ姿の大桜に会いに行くうのを、ここ数年の春の楽しみの一つにしている。
去年はつぼみがまだ固いうちから何度も通ってつぼみの膨らみ具合を確かめたりしたものだが、今年はそういう観察期間を省略してしまった。
自転車でのエクササイズに時間を割いたためだが、巷でソメイヨシノの開花が伝えられるに及んでぐずぐずしているわけにはいかないと、ついに神輿を上げたのだ。
結果的には6分から7分咲きの感じで、間もなく盛りを迎えようかという絶好のタイミングだったから、もう一度満開の頃を見計らって再訪しても楽しめそうである ♪
春風の花を散らすと見る夢は さめても胸のさわぐなりけり 西行法師
という歌があるくらいだから油断は出来ないし、実際、日曜日にはまた春嵐が大雨を伴ってやってきそうである。
しかし、今の大桜の咲き始めの花の具合と周囲の木々が風よけになってくれるであろうことを考慮すれば、なんとか花は保つんじゃないだろうかと期待している。
久方のひかりのどけき春の日に しずこころなく花のちるらむ 紀友則
この歌に詠まれた光景にも味わい深いものがある。
せっかくだから欲張って両方味わってみたい気もする、と思うのはいい気なものかもしれないが、案外シナリオ通りに行くかもしれない。
ともかく、今年も大桜が健在で嬉しい ♪
大桜は山の中にあるため、全体像をカメラに収めることがなかなか難しい
見出し写真や次の根元の写真を見比べて想像していただきたい
樹齢200年は超すという
以下は大桜の咲きっぷり
以上、総身に知恵が回りかね…なんてことはなさそう
大桜に向き合うような位置にもヤマザクラの古木があり、こちらも100年を優に超えるような堂々たる幹が天を衝く
この写真と次の写真は大桜に隣り合って咲く若木
若いと言ったって樹齢は数十年はあるだろう 若いから花の咲かせっぷりが小気味よいような
3本の関係は老人壮年青年のようで、三世代同居ってところだろうか
以下は去年jの大桜
2020年3月19日はまだチラホラの咲き具合だった
1分咲きか2分咲きくらいだから、今年の開花の早さがこれで良く分かる
これは5日後の3月24日 サクラの静かな呼吸を感じながら五臓六腑に染み渡らせていたんだったよな ♪
一応、サクラ、桜で気取ったつもりだったんだ
サクラは何といっても青空が似合う=2020.3.24