神戸のラーメン店店員だった当時28歳の青年が1978年に成田から出国した後消息を絶っていたが、北朝鮮が「拉致した」と認めたというニュースである。
普通ならこれで、あっ、そうなんだ、けしからん話じゃないか、さっさと帰国を求めるべきだ、となってこのところ影の薄い拉致問題に再び注目が集まるところだろう。
そういう思いは新聞を編集する側にもあったらしく、ボクの身近な地方紙はなんとこのニュースを1面トップで伝えている。
一緒に購読している全国紙のトップ記事は森友問題で、払下げられた国有地に埋まっていたごみの量を調査した業者が、近畿財務局と森友学園側に迫られて「虚偽の報告をさせられた」と大阪地検に証言しているという記事だった。
身近な地方紙にもこの事実は掲載されていたが、2番手の扱いで、どうにも首をかしげたくなる扱いである。
しかも、全国紙の方には拉致のニュースは一行も報じられていないから、おそらくこのニュースを配信した共同通信社のスクープだったようである。
しかし、なんか違和感を感じたんである。
確かに拉致問題の解決はどんどん年を取っていく拉致被害者の両親たちのことを思えば、猶予のならない喫緊の課題である。
しかし、北との間で何らかの交渉が続いていたとも思えないし、とうしてこんな話が突然出てきたんだろうと思って、記事を良く読み返してみたところ、北が認めたのは2014年だというのである。
何と3年以上も前のことではないか。
それがなぜ唐突に今、それも共同通信を介して全国に流れたのか……
これはもう一目瞭然である。
森友問題が再燃し、あろうことか最強官庁と言われる財務省で公文書改ざん疑惑が発覚し、当時この関係の答弁を一手に引き受けて追及をかわし続け、そのお手柄で国税庁長官にまで栄進した官僚が突如辞任を迫られ、挙句の果てに財務大臣の責任論まで飛び出して大慌てしているアベなんちゃらの側が、国民の目をそらそうとしているに違いないのだ。
そのためには全国津々浦々までこのニュースが届いて、国民の間に「そうだよ、森友以外にだって拉致問題もあるじゃん。そっちも真剣にやれ」というような風潮、意見の高まりを期待してのことに違いない。
全国紙はみんな色がついてしまっているからなかなか使いづらいし、全国津々浦々までは配達されていないから不適当なんである。
それに加えて共同通信社が流したこの記事の情報源として「日本政府関係者が明らかにした」と書かれている。
政府関係者って誰よっていうところだが、おそらく首相官邸に詰めている官房長官以下のスタッフのだれかで、拉致問題担当の首相補佐官あたりが大いにクサイ。
アベなんちゃら一味は旗色が悪くなると、それに真剣に向き合おうとしないで、国民の目線をそらすことにだけ力点を置いて、逃げることばかりに血眼になる。
昨年の夏は加計学園問題でニッチもサッチもいかなくなったところで、秋に解散総選挙に踏み切って、なんと「国難突破解散」とかなんとか言いだして、北朝鮮のミサイルの恐怖を必要以上にあおって大勝利したのは記憶に新しい。
何が国難だよ、あんたの方がよっぽど国にとっては危ういぜ、と思っていた方は残念ながら少数派だったんである。あれには心底がっかりした。
また北朝鮮頼みだ。
日ごろはあんなにけちょんけちょんに言っているくせに最後は必ず北に寄りかかろうとする。
実に不思議な政権である、アベなんちゃら政権は。
さらなる奥の手はメリケン粉屋の45代と北の太っちょが会談するのに乗じて、あわよくば僕ちゃんも会談して拉致問題で何とか人気回復に希望をつなぎたいと画策しているようだけど、足元見られるだけに決まっているし、実現などしっこないのだ。
だからせめて古いニュースでもリークして……ってところだろうが、見苦しいの一言ですな。
昨日、みなとみらいの横浜美術館前を通ったらシモクレンが真っ盛りだった。数本植えられているがどの木も満開状態。ハクモクレンの後に咲く品種と認識しているが、ここの株は早咲きなんだろうか
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