昨日の正午少し前。
ハガキを近所のポストまで出しに行った帰り、池のある公園まで足を延ばした時のこと。
大寒のこの時期、陽の光があるとないとでは体感温度が随分違ってくる。しかし昨日はと言えば所々に青空がのぞいているものの雲の方が優勢で寒々としていた。
おまけに北風が強めに吹いていたから陽が陰り風の通り道などに差し掛かるとブルブル震えるくらいに寒い。
前日の葛飾柴又がとても暖かく歩きやすかったことを思い浮かべるものだから、なおさら寒さが身に染みた。
池のふちを回って進むと池側の一段低い所に密集している笹の間からいきなり1羽のニワトリくらいの鳥が出てきてボクの前方10mほどのところを横切り、左手の斜面の灌木の茂みに消えたのを目にした。
顔から首の辺りが赤っぽく見え、身体全体は茶褐色の羽毛にくるまれている。
鳴き声を聞けばすぐにわかるのだがコジュケイに間違いない。
ここの森は灌木の茂みや密集した笹ヤブが多く、コジュケイにとっては暮らしやすい場所のようで、人気のない園路ではしばしば見かける。
この日はヤブの中に消えた1羽を見た後、まだいるんじゃないかと思い、距離が10mでは遠すぎるので2~3m近寄ったところに佇んで動きを止めてじっとしていたら、案の定、2羽が笹ヤブの奥から現れ、しきりと地面を突っついた後、ボクに気付いたんだろうか慌ててヤブの中に引っ込んだ。
最初に見た1羽より体が一回り小さめに見えたから、想像するに最初の1羽が親鳥で、2羽は多分子供たちなんじゃないかと思う。
冬を越そうというくらいだから、さすがに幼鳥ではなく、もう少し成長した若鳥といったところだろうと思う。
コジュケイの若鳥って美味しいんだろうなぁと、最近焼鳥屋に行ってないことを思い出してよだれを垂らしかける。
信州の教会の牧師だった太田愛人さんの著作に「辺境の食卓」というのがあり、安曇野の教会の周辺に出没するコジュケイをひっ捕らえて東京での会議の際のお土産に持っていき、それを会議の後の懇親会で焼いて供したら東京の仲間が美味しさのあまり気絶しそうになった…という話が載っていた。
あの鳥は「チョットコーイ」「チョットコーイ」と鳴くものだから、それじゃァと言って近くに寄ってひっ捕らえたんだと理由まで書いている。
ボクにはこの話が強烈な印象になってしみ込んでいて、池の周りの森の中から「チョットコーイ」と呼ばれるとどうにも落ち着かない気分になるのだが、太田サンのようにひっ捕らえられないのがいつももどかしい。
一旦引っ込んだ2羽の若鳥だが、2、3分もするとまた竹藪の根元から首を出して辺りをうかがう様子である。
ボクがじっと身動きしないで立っていると、そのまま体を藪の外に出し、又地面を少しつついたかと思うといきなりバタバタと大きな羽音を立てて飛び上がったのだ !
えっ、コジュケイって飛ぶんだ !? 飛べるんだ !? ってのがその時の正直な感想で、目からウロコでしたな。
お世辞にも上手な飛び方とは言えず必死に羽根をばたつかせ、やっとの思いで上昇する感じがちょっとコジュケイ、いやもとい、コッケイ。
でもビックリしたなぁ~
しかももっと驚くことには、相次いで2羽が飛び立ったと思ったら、次から次に出てくる出てくる…3羽…4羽…6…7…8…‼
何と8羽もいたのだった。ずいぶんと子だくさんなコジュケイ一家であることよ。
それにしても若鳥のもも肉って美味そう…あいつら走り回っているからももの筋肉発達してるだろうし。
あの調子じゃ手羽はどうかね…
と言いながら鳥の締め方も血抜きの方法も知らないんだよな。
ヤブから出て右手の茂みに消えた親鳥の姿を追ってんだろうなぁ
ボクにはまだ気づかない様子
ん、1羽はヤブの中に引っ込んだようだ
それにしても丸々と太っているじゃないのさ 食べごろ ?
親が呼んでるんだろうか
突如飛び立った ! あまりのことにブレブレ写真だが、右上方にかろうじて鳥らしき物体が映って…
(見出し写真は偶然にも撮れたバタバタと重そうな飛翔。撮影はすべてiphone)