朝からの雨は午前11時ころ、雪に変わった。
寒々しい、真冬にだって滅多に現れないような不景気な日の過ごし方の定番はコタツのシミになること。
外出自粛要請が出ていようといまいと、そんなことは関係ない。こんな日に、どこの誰が物好きにも出歩くかってんだ。
んなわけで新聞2紙と数冊の本を用意して掘りゴタツにもぐりこむ。
いちいちCDを取り換えるのも面倒だから、FM放送を点けっぱなしにして地元の鎌倉FMと全国放送のNHKFMを中心に音楽を選んで流しっ放しにする。
何故か幸いなことに、日曜日というのはクラシック音楽を流す番組が多い。
これは大歓迎で好都合。心地よい時間が流れていく。
もっとも新聞を読み進めると頭にくることも多いけどね…
そのうち何となく窓の外が普段と違うように感じられて顔を上げると、はっきりとした大粒の雪が斜めに落ちてきていた。
なんだか大袈裟な表現を使えば、黒い山の塊を背景に白い幕を引いたように降りしきっている。
それを見て、いささか場違い、季節外れの感無きにしも非ずで、ポカンとした思いでしばし眺める。
「こんなもんですべてを覆い隠そうったって、そうは問屋が卸さないからなっ ! 」
見出し写真のように、プランターのパンジーの上に薄らと積もりかけたが、それもつかの間、午後2時ころに雪が止むとほぼ同時に儚く消えた。
ほら見ろっ ♪
ところで、クラシック音楽を流しっ放しにしていた番組が終わると、今度は女性歌手2人が民謡を歌う番組に代わった。
普段民謡が流れ出すと周波数を変えてしまうのだが、この日はなぜだか心地よく感じられて、そのまま民謡独特の節回しに伴う伸びやかな声の響き(専門的にはナントカって言うらしいけど)に聞き入ってしまった。
オペラの女性ボーカルの心地よさに匹敵して、ちょっとした発見だった。
声質の違いによるものなのだろうか…、ともかく新発見には違いない。
覚悟を決め ? てコタツのシミになる場合は、頃合いを見計らって冷えた日本酒でもと思うものなのだ。
そうやってちびりちびりやりながら音楽を聴き、本を読むぞ、非日常を堪能するぞと思うのだが、この日はちっともお神酒に思いが至らなかったのは、世界中を覆う七面倒な事柄故なのだろうなと、今更ながら忌々しい。
真冬なら ♪ 春~よ 来い 早ぁ~やく来い と歌えば春は確実にめぐってきたが、もはや春だしなぁ…
まさか来年の春を待つ…ってことじゃないだろうな ?
満開のヤマザクラに雪が降りしきる=11:17
降りが強くなって景色が霞始めた=12:12
パンジーは薄っすらと雪化粧しかけたが、雪が止むと同時に儚く消えた