おちょくったような、実にふざけた名前だ。
『クロケシツブチョッキリ』
バラ愛好家にとってのにっくき天敵。バラに群がる吸血鬼ドラキュラ !
まだ小さなバラのつぼみが見え始めると、どこからともなく表れてツボミに穴をあけて液を吸う。
吸われたつぼみはその段階で成長できなくなって、やがて茶色く変色して枯れていく…
まだつぼみが現れないうちは新芽に取りついて茎から同じように液を吸う。
哀れ、液を吸われた新芽はチリチリになって黒っぽく、あるいは濃い茶色に変色して枯れてしまう。
とにかく「これから」という「新たな息吹」を台無しにされるバラ愛好家の身にもなって見ろってんだ !
舌を噛みそうな本名に対して通り名は「バラゾウムシ」という。
よく見ると、確かにゾウの鼻のような長く伸びた口を持っていて、こいつを使って液を吸うらしい。
体長は2~5mm。黒くてケシ粒のように小さい。
だから探すのも一苦労で、そう簡単に見つかるわけでもない。
よしんば運良く見つけたとしても、指先でつまもうとすれば、ポトリと地面に落ちてしまい、そうなればどこに落ちたか皆目わからなくなる。
そのことが分かってからは、先に左手の手のひらを見つけた葉先の下にあてがって、手のひらに落として捉えるのが一番確実だということを学習した。
一般的にこのバラゾウムシが動き出すのは5月から11月とされ、特に5、6月に多く発生するというのは、それだけ新芽やつぼみがオイシイ時期だからだろうと推察できる。
それが、何と今年はもう動き出したってことが何より気に入らない。
まだサンガツだぜ ?!
そして奴らは蕾から液を吸うだけでなく、そこに卵を産み付ける。
図々しいったらありゃしない。
つぼみを台無しにされたうえ、子孫まで残されてはたまったものではない。
しおれてしまったつぼみは見つけ次第処分しなければいけない所以である。
こいつに対する特効薬や退治法の決め手と言うのはまだないようで、株元にオルトラン粒剤を撒けとか、葉にはスミチオン乳剤を薄めて巻くのがいいとか、モノの本には書かれている。
とりあえずオルトラン粒剤は撒いておいたが、スミチオンは持っていない。
農薬や化学薬品は出来るだけ使わないようにしているので、多分スミチオンは今年も使わないと思う。
その代わり、多少のツボミが犠牲になってしまうのがつらい所だが、スミチオンを使ったところで完全防備が出来るわけでもないだろうし、ならば見つけ出して逮捕するしかないと思っている。
まだ少し先だろうと油断していたが、昨日、庭中のバラをしげしげと見ていたら、一部の株でチリチリの新芽を見つけ、もしや ! と注意深く探したら1匹見つけたという次第。
今のところ被害に遭ったのは「ブラッシングアイスバーグ」と「サハラ98」だけだが、時間の問題だろう。
つるバラ以外は株を低く抑えるために強めのせん定をしたので、新芽には頑張ってもらわなくてはならないのだ。
戦闘開始だぜ !
こいつが今春の逮捕第1号のクロケシツブチョッキリ。撮影後にはしかるべく… !
ちょっとピンボケだが、ちりちりにされた新芽
こちらも同様被害が
近所の池のある公園のヤマザクラはすでに満開
間もなく花イカダが見られることでせう
鎌倉山から見た相模湾と江の島(遠景は箱根連山と伊豆半島)
ヘンな天気だった…雲がなければ、画面中央に富士山が見えるはず
見出し写真は外出自粛要請が出た昨日午前11時20分の鎌倉大仏前
画面左端のバス停の更に左手前に大仏の山門がある。道路を奥に進めば江ノ電長谷駅があり、普段は休日平日を問わず、狭い歩道から人が車道にこぼれて歩いているような、これぞ雑踏と言うような場所なのだが、ごらんの通り人影が消えてしまっていた !