ふと眼を上げると、鳥である。
ホバリングしながらガラス越しに上下している。
ガラス戸を突き破って部屋の中に入り込む勢いである。
良く見ると胸に黒いネクタイを締めたシジュウカラである。
それもつがいで来ている。
ガラス戸を何とか突破しようとしているのは小柄の個体で、やや大きめの個体は近くの梢まで来て辺りを警戒しているふりである。
人間のワタクシに興味があるわけはないだろうから、一体理由が何なのか皆目見当もつかないが、瞬間のことではなく、姿を消したかと思うと、またやってきて同じ動作を繰り返すのである。
そんなことがしばらく続いた。
ガラス戸をあけてやったら、そのまま家の中に入りこんできそうだったが、中で巣作りされても困るからそうしなかったが、不思議な光景だった。
しばらくして、新車の中で説明書を読んで操作を確認していたら、今度はフロントガラスでホバリングしたり、運転席横のサイドミラーに止まったり、何とも人懐っこいんである。
まったくもって、まとわりつかれた気分というか、親しげなシジュウカラ夫婦である。
巣づくり、子育ての季節なんだろうね。
巣箱でも買ってきてカツラの木にでも取りつけて見ようか。もう、ほかで巣づくり始めちゃったかな。手遅れかなぁ。
ツツピー、ツツピーと澄んだ声で鳴くんだよな。
庭に巣くってくれれば、毛虫なんぞも食べてくれるだろうし、バラや他の植物の害虫駆除にもってこいである。
そう言えば思い出したが、シジュウカラに「作文を作る能力がある」という研究成果が発表されたのを新聞で読んだ。
確か、危険を知らせたり、仲間を呼び集めたりする時の鳴き方が決まっているんだそうだ。
いわば人間で言うところの単語、例えばシジュウカラでは「ピーツピ」とか「ヂヂヂヂ」とかの単語の組み合わせが特定の意味を持っているという事のようで、いわば文章を成すんだそうだ。
組み合わせを変えると反応しないというから、まさにヒト以外にも作文能力を持つことが証明された世紀の発見なんだそうである。
鳥をおびき寄せるときに使うバードコールというものを持っているが、数年前にベランダでバードコールを使って“鳥寄せ”のまねごとをしたら、シジュウカラだけが、興味深そうにやってきたことがあった。
おそらく、適当に鳴らしていたら、その中に仲間を集めるフレーズが入っていたんだろう。
なんともかわいらしい鳥なんである。
ネクタイ姿はもちろん、白とグレーと黒の3色の取り合わせのファッションはなかなか洗練されていておしゃれである。
材料さえあれば巣箱なんてすぐ作れそうだなぁ。
ホバリングし、網戸につかまり、家の中をのぞき込むシジュウカラ
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