露草や藍大尽の太柱 高井北杜
セミが鳴き始め、ようやく道端や草むらの中に透き通るような藍色の小花がポツリポツリと咲く姿を見かけるようになった。
このツユクサの藍色=青色は夏の色と言ってよく、空の青、海の青さに負けず劣らず美しく、どうしたらこんなに澄み切った素敵な色合いが出せるのか、自然界の妙味に脱帽するばかりだ。
形もシンプルに見えて複雑、複雑に見えて単純なところなど、この花の魅力をさらに増しているようにも思われる。
色合いがきれいなうえに、身近なこともあって人気は高く、「月草」とか「蛍草」などと風雅な異名も多い。
蛍草は蛍の光を思わせることからの連想だそうだが、月草は「月光を浴びて咲くので…」と歳時記にある。
朝咲いて昼にはしぼんでしまうイメージの花なのに…月の光を浴びて咲く姿と言うのは想像なんじゃないか? その時、この透き通るような藍色はどのような色合いに見えるのか…
青い月の光を浴びて咲くツユクサって聞くと、想像するだけでロマンチックな気配が漂い、気になるところではある。
このほか、帽子草、鈴虫草、蜻蛉草の名があり、果てはミッキーマウスとかウルトラセブンのイカルス星人に似ているという意見もあるそうな。
人気者なのだ♪
つゆ草咲けばとて雨ふるふるさとは 種田山頭火
露草や飯噴くまでの門歩き 杉田久女
ところで、朝咲いて昼にはしぼんでしまう露草には「はかなさ」を感じないわけにはいかないが、どうも実際はそうでもないらしい。
もっと"したたか"なようなのだ。
どういうことか…
花びらのすぐ下にある「苞(ほう)」と呼ばれる二つ折りになった葉を開いてみると、実はそこにたくさんのツボミが用意されていて、その日限りの花を夏の間中、次々と咲かせ続けるのだという。
はかないどころか"使い捨て戦略"を採用した極めて現代的なスタイルの花と言えるのだ。
ビックリだ♪
澄んだ空海の深さも露の草 花葯
オシベの黄色がまたアクセントになっている♪