目を見張るほどの明るさで、うん? 月か? といぶかりながらベランダに出てみるとちょうど真上の空に下弦の半月が光っていた。
季節はずれているが李白の「静夜思」そのものの光景を彷彿させるではないか。
牀前看月光(しょうぜん げっこうをみる)
疑是地上霜(うたがうらくは これちじょうのしもかと)
挙頭望山月(こうべをあげて さんげつをのぞみ)
低頭思故郷(こうべをたれて こきょうをおもう)
最初にこの詩に出会ったのは確か中学校の国語の教科書だったと思う。
この詩を知ったことでボクは漢詩とはなかなかいいものだなぁと、その後の付き合いが始まったのである。
あれから幾星霜。ベランダが光るたびにこの詩を思い浮かべてきたのだ。
昨日の大雨で大気中のちり芥の類が流れ去ってしまったのか空気がとても澄み切っているから、半月と言えどその光量は地上を明るく照らすのには十分なのである。
とはいえ、やはり満月のそれとはそもそもの光量が違うのだろう、半月のすぐ東側にはオリオン星座が光っているのが見えたし、さらに東の山際の上には宵の明星が負けじと光り輝いている。
今朝の日の出は5:24だそうだから日が昇るまでにはまだ1時間以上ある。
明るさに惑わされたか、あるいは寝ぼけでもしたのか1羽のカラスが鳴いた。
月夜のカラスってやつである。
月の明るい晩に浮かれて鳴き出すカラスの声を初めて? 聞いた。
オイ、しばらくすると日の出だぜ。寝ぼけてるんじゃないのか。それとも朝帰りか…
闇夜に出てきたり月夜に登場したり、カラスってやつは案外人気者なのかしらん。
素っ頓狂な役回りばかりだけどね。
昨日は夕方になってようやく雨が上がり、しばらくすると東の空に虹が架かった。
東の方角の空一面を覆いつくすような大きな虹である。
と言っても大きすぎるからか、はたまた近すぎるのか、地上付近から立ち上る左右の足部分はくっきりと見えるのだが、上部のアーチのような弓型の部分は良く見えなかったのが残念である。
上まで見えていたら相当巨大な虹になったことだろう。
その代わりなのか、太く鮮やかな虹の外側にもう1本の虹が架かりしばらく見えていた。
今朝の夜明けも太陽が昇ってくる直前の光彩が山際から放射状に差しかけてくるのがくっきり見え、それはそれは清明で美しい夜明けである。
夕方の虹から今朝の日の出まで、思いがけない自然ショーを堪能させてもらった。
2017.9.12 17:49 東の空に太い虹が架かり、その外側にもう1本の薄い虹が見える
同じ時間帯の北の空は金色に染まった
2017.9.13 05:08 日の出直前の光彩が鮮やかに映える
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