あの松坂大輔選手や横浜ベイスターズの4番にして侍ジャパンでも4番を打つ筒香嘉智選手の母校で、高校野球の名門校として全国的に知られる横浜高校の監督と部長が突然解任された。
理由は部員に対する日常的な暴言と暴行だという。
学校側の事情聴取に対して部長は「死ね」「やめちまえ」などと繰り返し、監督も部員の首根っこをつかみながら怒鳴ったりしたことを認めているという。
しばらく部活動そのものを自粛するそうだから、野球に自分の将来の夢を託そうとして集まった選手や、そこまではいかなくても野球が好きだからという理由で同校を目指した部員たちはさぞ落胆していることだろう。
暴言を吐き続けてきた指導者はもちろん、これまでそうした言動を放置してきた学校側の責任も極めて重大と言わなくてはならない。
おしなべて高校生の運動部というのは、どの競技にも共通するのだが、強豪校になればなるほど厳しい規律と激しい練習はつきもののようである。
ある意味で非科学的で精神力が強調され過ぎ、そうした中で理不尽にも耐え、激しい練習に耐えなければ栄冠に近づくことは無理だと信じ込んでいる指導者が、日本にはまだたくさん残っている。
そう言う風潮下で、指導者から言わせれば「死ね」や「やめちまえ」は選手に対する叱咤激励なのだという返答が堂々と返ってきたりして、驚かされることがある。
さまざまな表現がそろう日本語だが、残念ながら「死ね」や「やめちまえ」は叱咤激励の範疇には入っていない。
こんな言葉を指導者と仰ぐ人たちから毎日のように聞かされたら、高校生でなくたって嫌になってくるだろう。
そんな言葉を使わなくたって生身の人間の胸にストンと落ちるような言葉はいろいろあるはずなのだ。
そう言えば思い出したが、サッカーJリーグの地元球団・湘南ベルマーレの監督がリーグ戦たけなわの今夏、突如、活動の自粛を余儀なくされ、チームの指揮が取れなくなった。
それというのも選手やスタッフに対する暴言を含めたパワハラ問題だった。
この監督はスパルタ式練習で知られ、とにかくよく走るチームを作り上げ、それが故にリーグの中でも面白い存在としてサッカー好きの中には根強いファンを持っていたチームである。
ボクも地元チームというご贔屓を超えて、サッカーの原点のようなチームで好きだった。
監督の活動自粛という宙ぶらりんの後行われたリーグ戦5試合でベルマーレに白星はない。挙句に昨日も清水エスパルスと本拠地の平塚で対戦しながら、何と0対6という屈辱の大敗を喫して大勢のサポーターを落胆させ、あれよあれよと2部リーグ降格圏に転落してしまう大ピンチである。
このままでは降格どころか、チーム自体が瓦解寸前と言っても過言ではない。
この監督も2部に低迷していたチームを蘇らせた名伯楽として話題にもなり、一目置かれる存在でもあったのだ。
でも、その背後で、選手を鼓舞したつもりなんだろうが、選手たちにとっては受け入れ難い言葉の数々を浴びせていたということなのだ。
我慢の限界を超えた選手たちから内部告発によってJリーグの知るところとなり、こういう体たらくの状況を招くに至っているという訳である。
横浜高校も湘南ベルマーレも紙一重なんだと思う。
どちらも選手が憎くて監督が暴言が吐き続けたということではないのは明らかだろう。
しかし、日本のスポーツ界には依然としてこうした時代錯誤の体質が残され、今日もまた罵詈雑言を浴びながら耐えている高校運動部員やプロ選手たちがいることだろう。
ラグビーW杯での日本の歴史的勝利を伝える紙面の傍らに載った名門横浜高校の不祥事を見るにつけ、その落差の大きさに愕然としてしまうのである。
円覚寺のヒガンバナ 見出し写真も円覚寺妙香池のほとり
こちらも円覚寺境内にて
以上6枚は円覚寺と県道を挟んでほぼ真向かいの東慶寺境内の秋の草花