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平方録

いい試合を見せてもらった ♪

感動した。

正直言って、前半にトライを2つ奪われて3対12になった時には世界ランク2位というのはダテじゃないな、4年前の南アフリカ戦に勝って奇跡と言われたようなことの再現を期待するのは甘すぎるようだな、と思ったものだ。
それでもトライは返せなかったものの、相手の反則によるペナルティーゴールを2つ決めて9対12で前半を折り返した時点では、何とか食い下がって一方的な試合にならないでいることに後半への希望を見出した。

第一、相手が反則を犯すということは日本の攻めが執拗で、それで相手もたまらず反則を犯しながらもしのごうとしているという証だから、日本が互角以上に攻め込んで相手にプレッシャーを与えていたということなのだ。
この調子が続けば後半は面白い展開になるかもしれない…そういう期待を抱かせるに十分は前半戦だったのだ。

そして後半。
前半にも増してボールのある密集に日本選手は次から次へと頭から突っ込んでいって、弾き飛ばされても弾き飛ばされても次から次に必死になって突っ込んでいく。
その怒涛の攻防は見応えがあって、ひるむどころか、むしろ相手の自由を奪い、攻撃の芽を摘み取り、果ては相手をひるませるほどに執拗だった。
ああいう肉弾戦の激闘はややもすれば一瞬のスキを見せた瞬間にそこを突かれて破られてしまうものだが、日本はスキすら見せず、従って「あわや」というような場面も皆無で安心して見ていられた。

そう言う基本に忠実で、ひたむきなプレーが積み重なって執拗に攻め込んでいれば世界2位の実力の持ち主と言えど、逆に相手側に一瞬のほころびが生まれるものなのだ。
ゴールラインに何度も迫りながら最後の防御ラインを破れなかった日本についにその時がやってきた。
相手の防御人数より一人余らせた状況が生まれ、その余った選手にボールが繋がって見事初トライに結びついたのだった。
コンバートも成功してついに16対12と逆転してしまった。

後半の日本がゲームを支配し続けたことは明らかで、終了にほど近い時間に相手のパスをインターセプトした選手が約50メートルを独走し、あわやゴールに飛び込むかと思われた寸前に必死に追いかけてきた相手選手につかまって倒され、さすがにゴールには結びつかなかったが、相手の攻撃を遅らせ、戦意を奪う上では効果的なプレーだった。
結果は19対12。さらにペナルティーゴールも追加して、後半は相手に1点も与えない圧勝だった。
これはすごいことだと思う。

この日本対アイルランドの一戦を中継したNHKのアナウンサーは4年前の南ア戦も中継していて、アイルランドに勝った瞬間、「もう奇跡なんて言わせない ! 」と絶叫に近い声を張り上げて叫んだことが「戦後のスポーツ中継の間違いない名放送だ」などとネットで話題になっているという。
ラグビー担当のアナウンサーはその勝利の意味を知っているからこその一言だったのだろう。

試合後は日本チームがファンの声援にこたえてグラウンドを一周している間、ロッカールームに戻らずじっと待っていたアイルランドの選手たちが2列になって花道を作り、日本選手がそこを通る時に拍手で勝利を称えていた姿が何といっても「ノーサイド精神」の真髄のようにも見えて、アイルランドの態度もまた実に立派だったと思う。
日本の勝利だけでない、こういう試合後の光景という物にもたっぷり感動させてもらった。

記憶に残る良い試合を見せてもらった ♪



昨日の湘南海岸と富士山
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