神奈川県産の農林水産物とその加工品の中で「これぞ」というものが県の選定委員会によって指定されるのだ。
つい最近、そこに92番目のブランドが加わって「湘南ハマグリ」と名付けられた。
「湘南」も立派なブランドで、熱いラブコールが実って車のナンバーにもなったけれど、ハマグリを食べるのにどれくらい役立つんだろう。
と言いつつ、この湘南ハマグリを口にしたことのある御仁は少ないと思う。
なぜって、このハマグリが採れるのは江ノ島がすぐ目の前に見える湘南海岸の限られた一帯で、ボクの聞いた話ではハマグリを専門に採っている漁師は、たった1人なんである。
だからその漁師が腹でも下して休んでしまえば、水揚げはゼロになっちゃうのだ。
実際、ある朝早く片瀬漁港にハマグリを買いに行ったら、「ハマグリ専門の人、今日は休んじゃったから無いよ」とにべもなく言われたことがあるのだ。
そういう限定品でもブランド化しちゃうんですかい、といいたいが、名付けた方は希少価値が出るとでも思ってるんだろう。
"幻の湘南ハマグリ"って、案外飛びつく奴いそうだし……
ブランド化される以前の話だが、片瀬漁港の朝市で大人のこぶし大のハマグリを見つけて「へぇ〜、こんな立派なハマグリが…」と買ってみたんである。
確か1個千円近くもしたと思う。
ガスコンロに金網を乗せて、その上にハマグリを置いたんだけど、貝殻が開かなくって、いじくりまわしているうちに硬いゴムのようにしてしまったのだ。
だから地元のボクでも味わったことがないんである。なかなか市中に出回らないんだから無理もない。
江ノ島神社の参道の店の中には時々ハマグリの名前を墨で黒々と書いた紙を貼り出しているのを見かけるから、この辺りで消費されているのかもしれない。
これからは「湘南」と「幻の」という文字を加えて二重に稼ぐつもりだろうね。
それでなくたって観光客という立場はブランドに弱いから、飛びつくこと間違いなしでしょう、きっと。
昔、江ノ島に歩いて渡れた頃の砂州の名残が残っている場所があって、引き潮の時は結構海底の砂地が現れるから、バレないように掘ってみようかしらん。
ちょっとピンボケですが、かながわブランドのホームページから転写。大人の手と比べると結構立派なハマグリである
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