ボクは真夏の暑さが止んで、少し涼しい風が吹き始めるころになると一斉に鳴き出すヒグラシの声が好きである。
あの鳴き声を物悲しいからちょっと、と言う人もいるが、もののあわれとはああいうものではないかと思っているし、夕日が差し込む明るい雑木林などからカナカナという澄み切った鳴き声が寄せたり引いたりする波のように強弱を伴って聞こえてくると、ジーンと来さえするのだ。
でも、やっぱりまだ本調子ではないようで、日の出ころのヒグラシの蝉しぐれを聞こうと窓を開けたが、今朝は低いところの千切れ雲が飛ぶように流れ、空気もじめっとしているためか、鳴き声は聞こえず沈黙したままである。
代わりに、ホトトギスが「特許許可局」としきりに騒ぎ、多分アブラゼミだろうが早朝からじりじりと鳴く様子は、ちょっとちぐはぐな感じを受ける。
昨日も書いたが、関東ではこのところ梅雨明けしていないのに晴れ間が広がり、結構な暑さに見舞われていて、セミたちだって梅雨が明けたと思って地中から這い出てきたんだと思うが、繊細なヒグラシはオヤッ? と思っているはずなんである。
たぶんそれが今朝のヒグラシ沈黙の要因なのだろうと思うのだ。
一昨日11日の夕刊に札幌の市場でサンマの初競りがあったという記事が載っていた。
コオロギに続いて何だよ、秋が押し寄せてきてるんですかい? ちょっと気が早すぎませんか? と言いたいところだが、サンマは例年この時期辺りから初物が出回るらしいから、それほど驚くには当たらないようである。
札幌の市場ではキロ当たり40万円の値が付いたそうだが、これは近年の水揚げ量の少なさが反映されたもので、過去最高だそうだ。
東京の築地市場にも同じ日、北海道沖で獲れた780キロが初入荷したそうで、こちらは130グラムほどのサンマが1匹辺り400~1900円と品薄だった去年と比べて半値ほどで取引されたと書いてあった。
それにしても400~1900円という値幅はどういうことなんだろう。
ボクの大好きな本格的な夏がまだ来てもいないうちから秋を話題にするのは嫌なんだが、サンマは秋の味覚の代表選手の一つなのは間違いない。
それがここ2、3年漁獲量が減ってきているのは台湾や中国の漁船が北海道沖まで進出して漁獲量を増やしているからだという。
ちょっと前までは見向きもしなかったんだと思うが、日本にやってきた連中がそのおいしさに目覚めたのかどうか知らないけれど、思わぬ競争相手の出現というわけなのだ。
水産庁によると2016年の漁獲量は日本の11万4000トンに対して台湾が14万5000トン、中国が6万3000トンだったそうである。
いいよいいよ、好きなだけ獲っていきなよと言いたいところだが、どっこい、漁業資源というものには限りというものがあるのだ。
乱獲はいけません。
で、日本の呼びかけで、今日から札幌で開く北太平洋漁業委員会(NPPC)でロシア、中国、韓国、台湾、アメリカなど8か国・地域が集まってサンマの資源管理などについて議論することになったそうである。
資源管理とはすなわち漁獲制限を意味するわけだから話し合いがすんなりいくかどうか不透明らしいけれど、ここはひとつきっちりした道筋を決めてもらわなければ……
焼いた新鮮なサンマを前にして一番最初に箸をつけるのがハラワタで、まだ湯気が立ち上るハラワタにスダチを絞った大根おろしを絡ませて食べ始ると、あのほろ苦さが何とも言えないのだ。
間違っても食卓に上るサンマが高騰したり、消えかかるような、こちらの意に反するほろ苦さだけはゴメンこうむりたい。
今朝4:15の東の空
江の島防波堤に立っても梅雨が明けきっていないのがよく分かる
最新の画像もっと見る
最近の「随筆」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事