ナニ、孫娘の姫のためにひと汗かいてきたってことでさぁ。別に特別なことなんかじゃぁありゃしねぇですよ。
先日、没後20年になる義父を偲ぶ会をやった時、姫が「ジャッキーの筆箱」が欲しいと申しやすもんで、東京駅の地下のキャラクター通りってんですかね、人気アニメや漫画のキャラクター商品ばかり売っている店が並ぶ所があるんですよ。そこに行ってお目当てのものを探したんでごぜぇやすよ。
ピンク色の筆入れはあったんでごぜぇやすがね、あの年頃の女の子にしては珍しくピンクはあまり好きじゃないんでごぜぇやしてね、薄いブルーのがあるはずだと申しますんでごぜぇやすよ。
店の人に聞くとブルーはもともと生産数が少ないんだとかで、すぐに売り切れてしまうそうなんでさぁ。
いやなものはいや、好みではない色をいつも身近に置くのも嫌なんでごぜぇやしょう。そのあたりの意思ははっきりしていやしてね、涙をこぼさんばかりにがっかりしていたんでやすよ。
しおれた姫の姿を見ましてね、店の人に類似の店はほかにあるのか聞いてみたんでごぜぇやすよ。
そうしたら池袋とか表参道とか言うので、横浜方面にはないのかと聞くと、みなとみらいのクイーンズにあると申しますんでさぁ。
みなとみらいもクイーンズスクエアも現役時代は庭のようなところで、ちょくちょくパトロールしていたところなんでごぜぇやすよ。
目ぇつむったって歩けるところでしてね、ネズミの穴だって知ってまさぁ、ヘイ。
で、昨日は昼飯の後で瓦版を読んだ後、幕府の元締めを務めた、今は官房長官とかいう名前になってるようでごぜぇやすがね、後藤田何某という切れ者の回顧録を読んでたんでごぜぇやすよ。
そうしたら眠くなっちまって、そのまま昼寝でもしちまおうかと思ったんでごぜぇやすよ。そうしたら急に姫のしおれた姿が思い浮かんで来やしてね、こいつぁいけねぇやてんで、スイカと小銭だけ持ってキャップをかぶり短パン姿で電車に乗って行ってきたってわけでさぁ。
3時ちょい前のことでごぜぇやしたかね。
わけねぇんでごぜぇやすよ。電車で横浜駅まで行って、みなとみらい線に乗り換えて、みなとみらい駅地下5、6階辺りの改札口から1階まで、ドイチュラントとかいう国のフリードリヒ・フォン・シラーという詩人の詩が壁面一杯に書かれた前の吹き抜けの空間を一直線に上っていくエスカレーターがありやぁしてね、こいつは気分がいいんでやすよ。
シラーの詩ってぇのはベートーベンの第9交響曲の「喜びの歌」の詩なんでごぜぇやすよ。
え? ガクがあるじゃねぇかって? 勘弁しておくんなせぇよ、これくれぇはこの辺りのネズミだって知ってやすよ、からかわねぇでおくんなさいよ。、
エスカレーターを上ったところの案内所のお女中に店の場所を聞いたら、アメリカンイーグルの店内の奥の〝隠しエスカレーター〟で上ったところだというじゃごぜぇやせんか。
もちろん知ってやしたよ、隠しエスカレーター!
何であんなものこしらえたんでやしょうかねぇ。アメリカンイーグルの店内をうろつかなけりゃぁ分かりませんぜ。
いやぁ話がまどろっこしくなってしまいやした。
迷路の奥のようなこの店に、ありましたんでさぁ、姫が探していた薄いブルーの筆入れが!
でも、在庫は何とあと3つ。このまま帰ってしまったのでは売り切れてしまう。夏休みまではとても持たないだろう。
で、早速写真に撮って姫の母君のところにメールしてこれで間違いないかどうか、買いおいておいた方がいいかどうか問い合わせたんでごぜぇやす。
そうしたら学校から姫が帰ってきていやしてね「ありがとぉ~じいじぃ~」と絶叫され、店のお女中にも「良かったですねぇ~」と祝福されやしてね、品物を抱えて柄にもなくいそいそと帰ってきたんでごぜぇやすよ。
おっと! あっしとしたことが長々とまぁボケ話をしたもんでさぁ。
それにお付き合いいただきやして、何とも恐縮でごぜぇやす。ありがとうごぜぇやした。
壁面を飾るシラーの詩と巨大空間を一気に駆け上るみなとみらいクイーンズスクエアの長大エスカレーター
姫が探し求めていたジャッキーの筆入れ
お上りさんのように、ウキウキとみなとみらいの景色を眺めながら帰路についた
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