セツブンソウの花が見たくなった。
近いところでは長谷の光則寺でも咲いているらしいが、久しぶりに浄妙寺まで足を延ばすことにした。
鎌倉五山の第5位に位置づけられる臨済宗建長寺派の禅寺である。
近くには竹の寺として人気の報国寺や鎌倉で最も古いとされる茅葺屋根が美しい杉本寺があって、観光客の姿が絶えないエリアである。
蛇足ながら浄妙寺の地名は浄明寺で、「みょう」の字が違っていてややこしい。
セツブンソウは本堂と本堂左手にある喜泉庵との間の枯山水の一角にまとまって咲いていた。
何分、背丈も花そのものも小さいので、うっかりしていると見過ごしかねない。
実際、ボクが地面に身をかがめてスマホをかざして写真を撮っている時でも、知らん顔をして通り過ぎていく参拝客が結構いたし、それくらい目立たない花でもある。
しかし、見て分かるように白地に金色に輝くネックレスのような輪を持ち、さらに中心部に青とも薄紫とも形容できるオシベとメシベが密生している。
白い花びらのようなものはガク片で、花びらは黄色のネックレスがそれに当たり、実際は5~10個しかないのに先端が2つに分かれるため、環状に連なって見えるらしい。
決して華やかな花とは言えないが、どこかエキゾチックな印象を漂わせつつ、清楚でさりげない色香を漂わせるようなところがとてもいい。
雪国に行くとセツブンソウのような女性に出会える気がする。
同じ時期に、やはり地際で小さな花を咲かせるフクジュソウと好対照である。
フクジュソウの花が、太陽の光がこぼれてきて一か所に溜まって光り輝いているような、人の目を引きつける魅力を備えているように感じられるのに対して、セツブンソウに重ねるのは、どうしたって雪国の控えめな女性が相応しい気がする。
この際、仲良く両方を混植してみたらどうなんだ?
背丈の点でも似通っているし、視覚的にも白色と黄色の取り合わせは早春の庭に場違い感は出ないだろう。
むしろお互いが引き立て合うんじゃないかと思うのだが。
浄智寺の和尚なら「面白れぇ♪」と二つ返事でやってくれそうだがどうだろう。
浄智寺にはすでにフクジュソウがまとまって咲く一角があるし、現在はクリスマスローズと一緒に植わっているが、クリスマスローズよりはセツブンソウだろう…
白い花びらのように見えるのはガク片で、黄色い冠状のようなものが花びらだそうな
中心部の青色とも薄紫色ともいえる部分がオシベとメシベ
姿の良いウメの古木
喜泉庵 ここで休むと抹茶と美鈴の生菓子を頼める