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平方録

いささかの反省を込めつつ

鎌倉市内の仏教系寺院の数はおよそ120だという。

新興宗教系の寺院も含めての数だそうで、一覧表を眺めているとなるほど、よく所在地近くの電柱の看板を一色に染め上げ存在をアピールしているような寺も混じっている。
建長寺や円覚寺のような大本山の境内に点在している、塔頭と呼ばれる寺も含まれているから、なおさらその数も膨らむのだろう。
従って、寺の名前を見て「あぁ、あの寺だな」とピンとくるのは半分にも満たない。
ここで言う「ピン」の意味するところは、名前を聞いたり見たりした瞬間に寺そのものの映像が浮かぶかどうかで、行ったことがあるとか、前を通ったことがあり存在を認識したことがあるという意味である。

そういう寺の中で「存在は認識していたが、中に入ったことは一度もなかった」という寺で、昨日わが二合会の吟行が行われた。
鎌倉で唯一の尼寺の英勝寺。
太田道灌5代の子孫で家康の寵愛を受けた「お八」という女性が家康の死後、出家して英勝院を名乗り、幕府に建立を願い出て許されたのがこの寺の由来で、のちに御三家・水戸家から代々住持を迎え入れてきた寺である。

この寺には1、2度入りかけたことがあるのだが、一度は境内の整備中で拝観できず、1度は門前で引き返してきてしまった。
というのも、この境内に入る入口はとても小さくて狭いのだ。
腰をかがめ、頭を低くして小さなくぐり戸を抜けなければならない。
くぐり戸から境内を眺めようとしてもほとんど見えず、その魅力も伝わってこないのだ。
そんなわけで素通りが続いてきたが、中に入ってみて驚いた。
県の重要文化財に指定された建物が連なっているし、花もきれい、そして報国寺にも負けない整備された竹林が広がっている…

最近、固定観念にとらわれがちで、なかなか殻から抜け出そうという気概もなえているのが分かるのだが、寺の拝観ひとつとっても目からウロコが落ちるようでは生き方を見直さなくてはならない気分である。
イカンイカン。

通用口の小さな入り口から身をかがめて入るとここに出る。奥の階段を上った先に竹林が広がる




仏殿を裏から見る

表から見た仏殿と左の建物は山門

山門

山門越しに仏殿を見る

山門に掲げられた扁額は後水尾上皇の直筆とか


総門と鐘楼



最後にわが吟行句と兼題を含めた提出句

尼寺に梅雨明け前の緑濃し
カミナリを子守代わりのゴロ寝かな
ヘソ出して舌まで出して聞く雷公
豆台風ぬき足さし足しのび足
利き酒のちっとも酔わぬ梅雨半ば

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