平方録めっ、また富士山かよ…と言われそうだが、あしからず。
パトロールに出て目の前に雄大で優美な姿が現れたら、シャッターを押さずにいられない。
同じ被写体でも、雲の形、光の差し方、夏場以外なら真っ白な雪の量、朝昼夕、etc…
見るたびに違いがあり、2つと同じ富士山はないのだから、富士山の見えるところに暮らしている身としては、押すだけでもいいからとりあえずシャッターを押しておくのが日本一のお山に対する最低限の敬意ってやつだと思っている。
義務でもあるだろう。
昨夜は夜中にものすごい勢いで雨が降った(山の神がびっくりしていたが、ボクは白河夜船で全く気が付かなかった)そうで、午前10時近くになってパトロールに出た時でさえ、一定の交通量のある道を除いて路面はしっかり濡れていた。
まるで雨上がりの直後のように…
一方で気温はぐんぐん上がり、最高気温の予想はこの時期としては高めの21℃!
ただし問題があって、南寄りの風が8m前後吹くという予報だった。
自転車に風、特に向かい風は大敵である。
山の神が「風が強く吹き出したら戻ってくればいいじゃない」と至極単純だがもっともなことを言うものだから、それはそうだと背中を押され、濡れた路面を走りだす。
そして家から約10㎞ほど西に進んだ湘南海岸自転車道上でそれまで真横から吹いていた柔らかな南風が、突如怒りだしたように、あれよあれよという間もあらばこそ、風向きを南西に代えて向かい風になって襲い掛かってきたかと思ったら、今度は表面がすっかり乾いて軽くなった砂浜の砂や路面上の砂を巻き上げつつ襲い掛かってきた。
砂はヘルメットの下の髪の毛の間に潜り込み、見開いている目に飛び込んで視界を奪い、口中や鼻腔にも忍び込んできてもはや前進どころではなくなってしまう。
それでも何とか11㎞地点までは進んだものの、そのまま進んでも何の展望が開けるわけでもなし、9月に買ってまだ一度も砂まみれにしていないピッカピカの愛車を砂まみれにし、さっさと退却してくればよかったと砂を噛む思いどころか、本物の砂が口中でざらつくのを忌々しく感じながら退却を強いられたのでした。
最初に砂礫の強風攻撃を受けた10km地点には気象庁のアメダスがあり、家に戻って記録を確認するとそれまでの1.5mの南南東の風が午前11時ころにいきなり南南西に向きを変え、しかも7mにまで達していたことが分かり、ボクが遭遇したのはまさにその風だなと納得する。
そして強風は吹き続け、14時には9mの強さにまで達しているのだった。
夜中に降った強い雨、季節外れの温かさ、いきなり風向きを変えてしかも強く吹きすさぶ風…
何とも激しすぎる昨今の気象変化である。

11月下旬の海とはとても思えない明るい陽光が降り注ぐ湘南海岸・片瀬西浜

腰のあたりにたなびく雲が効いている

丹沢山塊は半分雲の中

箱根連山にも雲が残る

絵の具は青と白だけで、他は必要ありませんでした♪

10:39 自転車道を西に向かい辻堂海岸に至る

富士山は刻々と表情を変える

強雨をもたらした低気圧の影響か、海岸にはうねりが寄せていた

こういう波のある時は、よほどの腕自慢のサーファー以外は海に入らない

11:04 風向きが変わり、いきなり強風が吹き始めると、それまでは静かだった沖に羊の群れが現れる

波頭が白く砕ける様子を漁師たちは「羊が出てきた」と言って警戒し、漁を打ち切って港に戻る