一昨日の朝のことだった。
起きてからずいぶん時間が経っていたから準備運動不足ってことはないと思うのだが、靴下を履き替えようとして立ったまま右足1本に重心を移し、左足を上げて腰を少しかがめ、靴下に手をかけた途端、その強烈な衝撃は来た。
腰の辺りに「バシィ~ン ! 」と。
この衝撃は初めて感じるものではなくて、これまでにも何度か味わってきたもので、直ぐにその正体を理解し、のちの展開が頭に浮かぶと「アチャ~ ‼ 」という叫びにならない叫びが心の奥に響き渡った。
「のちの展開」って言うのは経験のない人にはチンプンカンプンだろうが、この一撃に見舞われると、自分の身体はもう自分の身体ではなくなり、ひどい場合は腰から下の動きを奪われ、上半身だって手や首は何とか動かせるが上半身を越すことはおろか、横になっていたって寝返りを打つこともままならないくらいに強烈な痛みに耐えなければならない。
典型的なぎっくり腰の一撃…恐れていた一撃…それがまさに青天のへきれきの如く襲ってきたのだ…そう思った。
蛇足ながら付け加えると、ひとたびこれに見舞われると、トイレに行くなんてことすら簡単ではなく、赤ん坊のようにハイハイして行って柱やトイレの把手にしがみつきながら激痛に耐え、涙を流しながら何とか立ち上がって、へっぴり腰で用を足さなければならない。
便座に座れば座ったで次に立ち上がれる時の苦闘は押して知るべしなのである。
ただ、一撃は食らったものの、これまでとの感覚の違いにも気づいていた。
というのは、襲ってきた痛みは腰や腹の内部、身体の奥の方で起こったように感じたことだ。
どういうことか。
つまり、従来のぎっくり腰で痛むのは身体を覆っている表皮のすぐ下の筋肉なのに対して、今回は内臓の一番近く、各種臓器が収まっている空洞になった内側の辺りで起きていて、地震で言えば浅い表層部分で起きたのではなく、地中の奥深くで起きた深層地震のような感覚があったのが特徴である。
「ズン」という鈍い響きが伝わってきたことも、そのことを裏付けているのではないかと思っている。
ぎっくり腰に外側と内側の違いがあるなんてことが正しいかどうかわからないが、ともかくボクの感じたままを書くとこうなるということなのだ。
ぎっくり腰の一撃を受けるとその場で固まるのがいつもの例だが、今回はこの今まで味わったことのない感覚にも頭が混乱し、その場でじっとしたまま次の推移・展開を待った。
激痛か、はたまた…想像を絶する何事かが身体の奥深くで起こるのか…
よもや納まっている内臓にダメージはないだろうな…
5分…10分…
何事も起こらない。
神経を集中させるが何も起こらない…ようだ…
痛みもほとんど感じない。
恐る恐る腰を少し動かして見る。
腰は軋ることも無く動くことは動く。
痛みもあまり感じない。
ただ何となく張ったような違和感が若干あるだけである。
ここまで来て、ようやく、あぁ、軽くて済んだようだ ! と胸をなでおろす。
体幹を鍛える運動をしてから自転車でパトロールに出かけようと思っていたのだが、さすがに体幹への刺激は止めておいた。
ただ、あまりにも良い天気だったのでパトロールには出掛けてきた。
あの朝から3日目の朝を迎えたが、もう腰の違和感はほとんど消えている。
とりあえず虎口は脱したらしい。
ぎっくり腰に寒さは大敵で、冬は要警戒なのだ。
腰痛持ちではないが、ぎっくり腰だけは妙になれなれしくしてくるのだ。
警戒信号だったのかもしれない。
それにしても危ない所だった。
湘南の光る海
波があると海に入るサーファーの数がぐっと減る !?