そこからもう一瀉千里に、今までの寒さをころりと忘れたかのようにぐんぐん気温が上がり、あれよあれよという間に西の各地を飛び越えて東京からサクラの便りが届き始めたのだった。
そんな満開のサクラの花の下に訪れたスーパームーンと呼ばれる2度目の満月の晩、尊敬する大先輩が旅立たれた。
願わくは 花の下にて 春死なん その如月の 望月のころ
生前から庭のサクラを見上げては西行のような最期を迎えたいものだと口にしていた通りの逝き方だったのだ。
悲しい出来事があったからという明確な思いがあったからという訳ではないが、今年の春はヤマザクラを求めて歩ける範囲の尾根道ばかりたどって過ごした。
お陰で、人混みとは全く無縁の山の中でのひっそりしたお花見が続き、あちこちで思いもよらない大樹に巡り合って、その盛りを堪能できたのは特筆すべきことだった。
たまたま東京に行く用事があって上野公園のサクラのすぐ脇をかすめて通った時、こんもりと盛り上がって咲いて見えるソメイヨシノと大勢の喧騒が聞こえてきたが、そのまま素通りしただけである。
サクラの次はバラが待ってくれていた。
今その真っただ中にいて、憎っくきバラゾウムシの被害も最小限に済みつつあって旺盛に咲いてくれている庭のバラたちを毎日毎刻、目を細めて眺める日々である。
「いい香りだね」「良く咲いてくれたね」「昨日の風と雨には閉口しただろう。もう大丈夫だ」などと語りかけているのである。もちろん小さな声で、あるいは心の中で…
「空蝉」「サハラ98」「ブラッシング・アイスバーグ」「バーガンディー・アイスバーグ」「ノリコ」「セント・オブ・ヨコハマ」「ローゼンタール・シュパリース・ホープ」「バレリーナ」が咲き競い、これから「伽羅奢」「ニュー・ドーン」「流鏑馬」などが満を持して控えている。
花の季節にはごく自然に花を愛でるのが良い。
ましてや自分で育てているものであれば愛おしさもひとしおなのである。
従って今、俗事は俗事のまま知らん顔を決め込んでいる。しばらくいい気分に浸らせておいておくれよ、という気分なのだ。
永田町や隣の半島を中心に俗世にも気がかりなことが起こり始めているが、花咲じじいは枯れ木に花を咲かせるのが役目であってそれ以外に手は回りかねる。
成り行きを注目することしかできないのがいささか物足りないが、こればっかりはしょうがない。
ともかく、手遅れにならないうちに新しい革袋を用意して半島情勢の変化に積極的・主体的に対応しなければ後手後手を引くばかりで、開くはずの埒だって閉じてしまいかねない。
この機だからこそ、アベなんちゃらには退場願うしかないのだ。ピッチャー交代!
さもなくば国益ってやつをとんでもなく損なうことになるだろう。
待ち焦がれていた「流鏑馬」が1輪開いた! 09:36撮影
とても甘い香りのバラである 12:24撮影
だいぶ開いてきた 12:24撮影
「ニュー・ドーン」もようやくお目覚めで2、3輪が開いた
優しげで可憐な「ローセンタール・シュパリース・ホープ」
「セント・オブ・ヨコハマ」の香りは洗練されたさわやかなものである。これは1番花で最後に残ったつぼみが開いたもの
こちらは八重咲のドクダミ
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heihoroku
高麗の犬
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